セル・エクササイズ | 自律神経エクササイズ

セル・エクササイズ | 自律神経エクササイズ
これだけやれば全身の筋肉(アウター、インナー)が刺激され身体能力がパワーアップ!
全身の細胞が目覚めるセル・エクササイズ
セル・エクササイズの解説

対談 野田秀樹校長
国内におけるエクササイズの現状
トップアスリートから子供・高齢者まで!科学的根拠がある、世界初の新しいエクササイズ

これだけやれば全身の筋肉(アウター、インナー)が刺激され身体能力がパワーアップ!

長年にわたり、トップアスリートを数多く指導し、新しいトレーニング法であるセル・エクササイズの研究を臨床と順天堂大学大学院医学研究科で行い大きな成果が得られました。

科学的根拠(エビデンス)のあるトレーニングこそが健康、スポーツに大きな貢献が可能となり肉体のみならず精神も豊かにすることが可能です。

巷では有資格者でない方々が根拠を持たない身体に負担がかかるエクササイズや筋肉のみならず腱や靭帯を傷害するほどの無理なストレッチを推奨する書やDVDがあふれています。健康になると期待して実践しても健康被害にあわれることも報告されているのはサプリメントと同様です。

解剖、運動生理学、医学、トレーニングを知り尽くした専門医が開発してトップアスリートから子供、女性、高齢者まで効果が実証されたエクササイズは他にはありません。

細胞レベルを賦活するセル・エクササイズをレーシングドライバー、プロ野球選手、プロ格闘家、オリンピック選手、プロゴルファーなど多くのトップアスリートへ指導を行い身体能力向上に役立った手法を一般向けにアレンジし、誰でも手軽に身体能力向上、自律神経機能向上、ストレス解消、ダイエット、ボディメイキングができるように考案しました。

今回は、特に女性向けにアレンジしたエクササイズは便秘解消、ダイエット、手先の冷え、むくみ解消にも効果的で基礎代謝向上だけでなく確実に内臓の機能を向上させます。

順天堂大学医学部小林弘幸教授(医学博士)とトップアスリート株式会社代表取締役、さかえクリニック院長末武信宏(医学博士)が、共同で研究・考案・開発しました。

すでに多くのトップアスリートのトレーニング法やコンディショニング法で、目覚ましい成果が得られている手法をシンプルにアレンジしました。

セル・エクササイズで身体能力検査が可能
セルエクササイズは解剖学的、運動生理学的、自律神経学的に徹底的に研究して開発された医学的根拠があるエクササイズです。
セルエクササイズを行っている方の動きを観察すれば、どの部位の筋肉がパフォーマンスを行う場合に弱くなっているか、どの部位の筋肉を強化すればよいかが明確になります。
また、動作を行う上でクセが明確にわかり、容易に修正が可能です。

肩関節や肩甲骨、股関節の動きのレベルや連動運動のレベルも明確に判断できます。

セル・エクササイズは単純なエクササイズではなく、身体能力検査としても有用で、セル・エクササイズインストラクターは、瞬時に的確なアドバイスを伝えることができます。

解剖学やトップアスリートへの指導検証を行うことから得られた貴重な情報や理論が、セル・エクササイズを行うことで容易に理解できます。

自律神経機能と肉体が同時にトレーニング可能なエクササイズ
単に筋肉や関節が強化されるだけでなく、内臓や自律神経機能が強化できます。
つまり、肉体であるハードウエアの部分と自律神経であるソフトウエアの部分が強化できる、医師が実践する世界で初めての自律神経へのアプローチに注目した複合エクササイズです。
身体を捻ってダンスさえすればよいという、これまでのエクササイズとは違います。
エクササイズは筋肉トレーニングではありません。
身体の機能を神経レベルまでも向上させるものです。
脳と神経と内臓と筋肉と関節や腱、靭帯が連動してスムーズに動く身体を作り上げることで、いかに健康な身体を作り上げるかを目標とします。

セル・エクササイズ(自律神経エクササイズ)は

01
ダイエット
02
姿勢矯正
03
健康(免疫力向上、便秘改善、不眠改善、心肺機能向上、冷え、むくみ改善)
04
ストレスケア
05
アンチエイジング

に役立ち その特徴は

01
呼吸・循環機能向上
02
インナーマッスル強化、骨盤位置正常化
03
内臓強化(腸管蠕動改善など)
04
副交感神経へのアプローチ
05
関節の可動域の向上
06
筋肉の可動性の向上
07
腱、靭帯の強化
08
基礎代謝の向上
09
細胞血流の増加
10
バランス感覚の向上

に繋がります。

01-10の特徴を全て兼ね備え、エビデンスがある運動生理学的にも解剖学的にも有効性が評価される、世界で唯一のエクササイズです。

これまでのエクササイズはただ身体をゆすったり動かしたりするものがほとんどでしたが、セル・エクササイズは、科学的根拠がある 身体の機能を医学的に最も効率よく向上させるベストパフォーマンスなのです。
身体には無理な負担もかかりませんし、身体の全ての機能を医学的に考慮した新しいエクササイズです。

子供から高齢者まで男性も女性もトップアスリートもいつでもどこでも手軽に短時間で、特別な器具も不要負荷が少なく費用もかからず、科学的根拠がある運動生理学と解剖学に基づいたトップアスリートも指導する医学博士が開発、推奨、実践するエクササイズがセル・エクササイズです。

ここでは、数あるセル・エクササイズの中から、より一般向けの実践法をピックアップしてご紹介します。
実 演

エクササイズする前には必ず、コップ1杯ほどの水を飲んで行います。
外関という手首のツボを軽くもんで全身の状態を整えます(副交感神経へアプローチします)。
副交感神経へのアプローチすることができるエクササイズですので、従来のエクササイズとは全く違ったリラックスと爽快感を得ることができます。

セル・エクササイズは

コンディショニングパート
トレーニングパート
ヒーリングパート

に分かれます。
音楽もコンディショニングはヒーリングミュージック、エクササイズパートはテンポ良いダンシングミュージック、ヒーリングパートはスローテンポヒーリングミュージック伴奏で行います。

日常生活にほとんど行わない動作を導入することで、眠っていた筋肉を刺激して身体全体を活性化!!
このエクササイズを毎日行えば、日々の生活の動作がとてもスムーズにラクに行うことができるようになります。

セル・エクササイズは腰や肩、膝などの各部位への負担を大幅に減少させますから子供から高齢者まで、ほとんどスポーツを行わない女性でも簡単に安心して負担なく取り組むことができます。

ポイントは肩甲骨、インナーユニット、骨盤、股関節、足関節で、末端から中枢まで中枢である体幹の動きがを末端まで連動させることです。

肩甲骨と股関節の可動域を広げ、柔らかいスムーズな動き
末端を固定した動き(同時にダイナミックストレッチができる)
呼吸法との連動による自律神経へのアプローチ
身体の上部と下部を繋ぐ体幹である腹部(インナーユニット)の運動を注目
(横隔膜、腹横筋、骨盤底筋群、多裂筋で囲まれた臓器が入っている部分)
骨盤を自ら正しい位置に調整
有酸素運動もインナーマッスル強化トレーニングも導入したエクササイズ
腸管を刺激する動きを入れることで内臓強化と便秘解消
日常では行わない動作、バランス能力の向上
肩甲骨の周囲がほぐれ、股関節の動きがスムーズになることで運動のパフォーマンスが向上

いきなり正しいストレッチ(セル・ストレッチ)を行わずしてエクササイズを行うことは身体の機能を損ない怪我に繋がります。
そこでコンディショニングパートでは全身が連動してストレッチできる手法を導入。

セル・エクササイズをスタートさせる前に、副交感神経向上を促し身体全体をリラックスした状態でエクササイズを行うことが重要。
セル・エクササイズでは、姿勢保持に重要なインナーマッスルを鍛えます。
特に体幹・・・骨盤底筋群、横隔膜、腹横筋、多裂筋、このためにはドローインを行います。
回旋運動を主体として、できる限りこれまでのエアロビや激しいエクササイズではなく 比較的ゆっくりと筋肉と呼吸を意識して行います。
太極拳や空手の型、ピラティス、ヨガを組み合わせたような動きでダンスエクササイズします。

特に回旋系の動きを主体として末端から中枢まで。 いつも連動した動きとリズムで行います。

10分のセルエクササイズで毎日、自分の身体に大きな変化を起こそう!

静的ストレッチは意味がなく、むしろ健康被害をもたらす可能性も報告されていますので、このセル・エクササイズが準備運動(静的ストレッチ)、ラジオ体操に代わる、女性がキレイで健康になるための標準エクササイズとして評価されると確信しています。

開発者プロフィール

小林 弘幸(こばやし ひろゆき)
順天堂大学医学部教授。
日本体育協会公認スポーツドクター。
ー 略歴 ー

1960年
埼玉県生まれ。
1987年
順天堂大学医学部卒業。
1992年
順天堂大学大学院医学研究科(小児外科)博士課程を修了後、ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立病院外科での勤務を経て、順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任。

20年以上に及ぶ、外科・移植外科、免疫、臓器、神経、水、スポーツ飲料の研究のなかで、交感神経と副交感神経のバランスの重要性を痛感し、自律神経研究の第一人者として、数多くのトップアスリートや芸能人のコンディショニング、パフォーマンス向上指導にかかわる。テレビ朝日系「みんなの家庭の医学」をはじめ、多くの健康番組に出演。わかりやすい医学解説に定評がある。

著書に2011年度 健康書売上数日本一「なぜ、『これは』は健康にいいのか?」(サンマーク出版)などがある。
研究、講演、執筆活動以外にも臨床医としてトップアスリート、有名モデルやタレントのコンディショニングやトレーニング指導も行い各界から注目を集める。
長年の臨床研究で開発した自律神経トレーニングエクササイズは世界初の本格的エクササイズとして各界の評価も高い。

著書 アマゾンにてご購入いただけます!!

末武 信宏(すえたけ のぶひろ)
医学博士。
順天堂大学医学部病院管理学非常勤講師。
一般社団法人先端医科学ウェルネスアカデミー(AMWA)副代表理事。
さかえクリニック院長として美容診療を行う傍ら順天堂大学医学部非常勤講師として、アンチエイジング医学、スポーツ医学の研究を行っている。
ー 略歴 ー

1987年3月
国立岐阜大学医学部卒業。
1987年5月
岐阜大学医学部附属病院第一外科入局。
1989年11月
大手美容外科全国主要都市クリニックにて研修。
1991年
アジア最大規模を誇る長庚記念病院、形成外科、美容外科部長、蔡博士の指導下、日本国内で5万例以上の手術を経験。全国主要都市の大手美容外科クリニックで多くの若手医師を指導、チーフドクターとして活躍。
1995年
日本最年少の日本美容外科学会認定専門医に認定される。(33歳当時)
2007年4月
順天堂大学大学院医学研究科においてアンチエイジング医学、スポーツ医学の研究に従事。
2011年3月
順天堂大学大学院 医学研究科において 学位(医学博士)取得。
日本美容外科学会認定専門医 第219号。
国際抗老化再生医療学会認定指導医。
’96、’98、’99年度 ミス日本(中部北陸地区代表)審査員。
2014年
ミス・ユニバース・ジャパン愛知大会Beauty Camp講師。
プロボクシングトレーナ(JBC認定) No.31532。
オリンピック日本代表選手,プロ野球主力選手、ツアープロゴルファー 専属トレーナー。
NODAレーシングアカデミー フィジカル・メディカルトレーナー、講師。

格闘家、レーシングライダー、Jリーガー、AVEXアーティストアカデミーでの特待生、モデル、トップタレント、宝塚トップスターへのトレーニング指導などセルエクササイズ&体幹トレーニング、自律神経トレーニング指導を行う。

これまでの指導・ケア実績はこちら >>>

トップアスリートもおこなう、セルエクササイズの効果
これまでのトレーニングは走ったりウエイトトレーニング主体でしたが、末武先生からアスリートのトレーニングは、肉体だけを鍛えても限界があり効率が悪い、と教えていただき3年前から180度トレーニング法を変えました。
つまり、ウエイトトレーニングも走ることも全く行わなくなり、先生から教えていただいたセル・エクササイズを主としたトレーニング法に変えました。

スポットでは末武先生からのご紹介で、仲田 健トレーナーに体幹トレーニングの指導を受けることができました。
ライディングしたりトレーニングする前は長時間かけてストレッチをして体をほぐていましたが、実はほぐれていないどころかかえって体が硬くなっていたことがわかりました。
トップライダーとして多くのライダーのお手本になるような体つくりを心がけていましたが、医学的根拠がないトレーニングが自分の能力を十分発揮できないようにしていたのです。

――セル・エクササイズを導入するまでは、波のある結果ばかりでした。
先生と出会う前は、転倒したり調子の波も激しく、優勝か転倒か。という状態でなかなかタイトルも奪取できませんでした。先生はすぐに私の自律神経にアプローチすれば、必ずレースでの好成績が収めることができることを保証すると断言しました。自律神経アプローチのトレーニングを日本で初めてアスリートのトレーニング法に導入され、結果を出されていたのです。

2010年、2011年全日本ロードレース選手権、2連覇して2010年鈴鹿8時間耐久ロードレースは最速タイムで走行し、ペアの転倒にもかかわらず3位入賞、2011年では第2ライダーが転倒したにもかかわらず優勝。
2011年では、8戦中6戦優勝、2戦準優勝と最高の成績を収めることができました。

マシーンと一体化して時速300キロの戦いはいつも死と隣り合わせの世界です。
ここ3年で仲間が3名も亡くなりました。
私自身、これまで何度もテストやレース中の転倒で重傷を負いましたが、レースに勝つよりも命を守るため肉体以上に自律神経を鍛える重要性が実感できました。

緊張の中でリラックスすることが、いかに大切か。
セル・エクササイズで完ぺきに集中力が。
末武先生が、無理をしなくていいよ、ストレッチもウエイトトレーニングもすべてやめてみたら。
きっと、良い結果が出るから!

最初は、ためらいましたが、これまでのトレーニングをすべて止めてセル・エクササイズを行い、結果が出せたことを誇りに思います。身体の調子がよくなり、ウエイトコントロールも容易にできるセル・エクササイズは、ぜひアスリートのみならず子供や高齢者の方、ダイエットを希望される女性の方にも行っていただきたいですね。

自律神経機能の状態をいつも計測するためレース前後ではBiocom社製のインナーバランスキャナーを使用して自らチェックしています。

――休むこともトレーニング、ハードばかりでなくソフトも重要。
すべてのトレーニングエッセンスが濃縮された次世代のセル・エクササイズは、スポーツ界の常識やこれまでのエクササイズの常識をきっと覆すことになると思います。
指導をしていただいた末武先生、そして私の怪我のケアや治療にご尽力いただきました小林弘幸先生、順天堂大学医学部整形外科の先生方にはこの場をお借りしまして心より御礼申し上げます。
微力ではございますが、セル・エクササイズ普及のお役にたてましたら幸いです。

静的ストレッチは危険!!セル・エクササイズには静的ストレッチは導入されていません。

幼少期から運動前にはストレッチをしなさいと必ず言われてきました。本当にストレッチは効果があるのかを検証した論文があります。

Effects of stretching before and after exercising on muscle soreness and risk of injury: systematic review.
BMJ. 2002;325:468.
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★★)

この論文はこれまでの8つの論文をまとめたレビューです。対象人数が最大のものは17~35歳の兵役でのトレーニング生1,538人、同じく1,093人のものが含まれています。
調査では毎日のトレーニング前後に5~10分の準備運動(ストレッチング)をする群としない群に分け、80日間のトレーニング期間の筋肉痛、ケガの状態が評価されました。

筋肉痛は0から10までの11段階で評価されました。ケガは捻挫、疲労骨折、骨膜炎、アキレス腱炎、前脛骨区画症候群(前脛骨筋、長指伸筋、長母指伸筋とそれぞれの筋膜および前脛骨区画に関与する神経と血管に、何らかの原因によって障害が生じ、そのために組織内圧が亢進し、前脛骨区画内の循環系に不全が起こり、筋・腱・神経組織に機能障害や壊死が生じるものである)を対象とされました。

結果は、筋肉痛のスコアは両群で同じでした。上の図は80日間のトレーニング期間にケガをしなかった者の割合で、赤は1998年の調査でのストレッチング施行群、青は非施行群、水色は2000年の調査でのストレッチング施行群、オレンジは非施行群です。1998年、2000年の調査とも両群でケガが起きる割合は同じでした。
他の6つの調査でもほぼ同様の結果がでています。
運動前に準備運動(ストレッチング)をしても筋肉痛やケガを防ぐことはできません。筋肉痛になるときはなる、ならないときはならない、ケガをするときはする、しないときはしないのです。

それでは実際のアスリートへのストレッチはどうでしょうか?
テニス選手のためのストレッチに関する最新情報
Pre-Tennis Stretching
常識を覆す静的ストレッチの最新情報です。(文責:スポーツ科学情報部会 高橋)
Coaching & Sport Science Review – Issue 43, December 2007
テニス選手のためのストレッチに関する最新情報
Pre-Tennis Stretching
Mark Kovacs and T. J. Chandler ( Jacksonville State University, USA)

<はじめに>
テニスは、大きな力やトルクの発揮をともなう中・高強度の運動が繰り返し必要とされるスポーツです(Kovacs、 Chandler、 & Chandler、 2007)。選手はこれらの大きな負荷にともなって生じる怪我を未然に防ぐために、練習や試合の前に時間をかけてウォーミングアップを実施します。

従来から実施されているウォーミングアップは、主に、テニスで頻繁に使われる筋肉を中心に静的ストレッチするというものです。静的ストレッチは、パフォーマンスを改善したり怪我を予防したりするものとして、何10年にもわたって、指導現場で実施されてきました。1980年代と1990年代中頃の研究論文(Shellock & Prentice、 1985; Smith、 1994)では、静的ストレッチはウォーミングアップとして良い効果をもたらすことが報告され、多くのコーチはスポーツ医・科学者のアドバイスに従って、選手に静的ストレッチを実施させていました。しかし、最近の研究ではウォーミングアップで静的ストレッチを行うと、実際には運動のパフォーマンスが低下することを報告しており、従来のアドバイスを修正していく必要性があることを示しています。

<パフォーマンス>
1960年代の研究論文(DeVries、 1963)では、ウォーミングアップで静的ストレッチを実施しても、その後の100ヤードダッシュの結果に改善がみられなかったことを報告しています。それにもかかわらず、各種スポーツ指導現場では、未だにウォーミングアップで静的ストレッチを行うことが常識になっており、静的ストレッチはパフォーマンスを改善するもの、という考え方が常識となっています。

しかし、実際には静的ストレッチは、筋力、スピード、パワーといったパフォーマンスを低下させるということが多くの研究結果から明らかになっています(Avela, Kyröläinen, & Komi, 1999; Cornwell, Nelson, Heise,& Sidaway, 2001; Cornwell, Nelson, & Sidaway, 2002; DeVries, 1963; Fletcher & Jones、 2004; Fowles, Sal.e, & MacDougal.l, 2000; Kokkonen, Nelson, & Cornwell, 1998; Nelson, Driscoll, Young, & Schexnayder, 2005; Nelson, Guillory, Cornwell, & Kokkonen, 2001a; Nelson & Kokkonen, 2001b; Young & Elliott, 2001; Young & Behm, 2003)。

テニスは筋力、スピード、パワーを必要とするスポーツです(Kovacs, 2006a)。それゆえ、これらの研究結果とテニスのパフォーマンスは強く関係します。また、静的ストレッチを実施した後に、下肢筋パワーの指標とされるデプスジャンプを行うと、そのジャンプ高(Cornwell et al., 2001; Young et al., 2003)は有意に低下することがこれまでの研究(Cornwell et al., 2002; Young et al., 2001)から明らかになっています。さらに、静的ストレッチが筋力や筋パワーに及ぼす影響を検討した研究では、静的ストレッチを実施した後に、筋力や筋パワーが30%ほど低下したことを明らかにしています(Avela et al., 1999; Fletcher et al., 2004; Fowles et al., 2000; Kokkonen et al., 1998; Nelson et al., 2001a)。これら研究結果はテニスコーチに対する大きな発見です。テニスコーチの役割は選手のパフォーマンスを向上させることにあります。コーチは選手に対して、練習や試合前に静的ストレッチを規則的に行わせているのであれば、選手は本来の70%程度の能力しか発揮することができないことになります。静的ストレッチを実施した後にみられるパフォーマンスの低下は、ストレッチの種類やストレッチをした後の活動様式に左右されるのかもしれません。また、静的ストレッチをした後のパフォーマンスの低下は、ストレッチをした後60分間持続するそうです(Fowles et al., 2000)。

この結果は、コーチが認識しておかなければならない重要な情報です。静的ストレッチがパフォーマンスに及ぼす正あるいは負の効果は、関連する運動のスピードに左右されるのかもしれません。
Knudsonら(2004)の研究によると、静的ストレッチをした後に高速での動きがなされる場合にはパフォーマンスの低下は見られないこと、テニス・サーブの場合、そのスピードや正確性のどちらのパフォーマンスにおいても静的ストレッチによる負の影響は見られないことを報告しています。

そのため、静的ストレッチは高速での動きや正確性に関連する運動のパフォーマンスを低下させるものではないという見解もありますが、この理論は必ずしも支持されるものではありませんでした。
それは、優れたスプリンターの静的ストレッチと20m走における疾走スピードとの関係性を検討した最近の研究から明らかとなっています。この研究によると、スプリント前に静的ストレッチを実施した場合、実施していない時よりも疾走スピードにおいて有意な低下がみられたことを報告しています(Nelson et al., 2005)。したがって、下肢、体幹、上肢の筋肉を含む複数の筋群を使うテニス・サーブのような動作において、そのパフォーマンスの減少量を定量化することは難しいといえるかもしれません。しかし、ウォーミングアップで静的ストレッチを行うことが、その後の筋力、スピード、パワーといった身体的能力を低下させるという事実は多くの研究結果から明らかです(Avela et al., 1999; Cornwell et al., 2001; Cornwell et al., 2002; DeVries, 1963; Evetovich, Nauman, Conley、 & Todd、 2003; Fletcher et al., 2004; Fowles et al.,2000; Kokkonen et al., 1998; Nelson et al., 2005; Wilson, Murphy, & Pryor, 1994; Young et al., 2001; Young et al., 2003)。

これらの研究結果の多くは最近のものであり、コーチはこのような新たな知見をなかなか理解することができないかもしれません。ウォーミングアップとしての静的ストレッチは、スポーツ指導現場では常識となっているため、この考えを変えるには時間がかかるでしょう。しかし、指導者、トレーナーともに、謙虚にこの事実を受け止めるべきです。

<傷害予防>
指導現場において、未だに練習や試合前のウォーミングアップで静的ストレッチを行っているのは、静的ストレッチがパフォーマンスを改善するもの、そして、怪我の危険性を減らすもの、という2つの誤った認識のためです。後者の思い込みは、おそらく、筋や腱がタイトな状態にある場合、関節の可動域が狭くなっているという意味で柔軟性が欠如しているという判断に基づいているのかもしれません(Garrett, 1993; Hunter & Spriggs,2000)。このような思い込みが、静的ストレッチが怪我の危険性を減らすという考え方をもたらしているのです(Garrett, 1993)。

しかし、最近の研究結果は、静的ストレッチが怪我の危険性を減らすという見解に異論を唱えるものであり、実際に反論を示しています(Comeau, 2002; Garrett,1993; Herbert & Gabriel, 2002; Hunter et al., 2000; Kovacs, 2006b; Levine, Lombardo, McNeeley & Anderson 1987; Pope, Herbert& Kirwan、 1998; Pope, Herbert, Kirwan& Graham, 2000; Shrier 1999, 2001, 2004; Shrier & Gossal., 2000; Yeung & Yeung 2001)。

1538名の男子陸軍新兵における下肢傷害の予防に関する研究では、12週間、運動前に静的ストレッチを実施しても傷害の発生率に変化がみられなかったことを報告しています(Pope et al., 2000)。ランニング障害の予防に関する2001にも及ぶレビューを調査しても、その多くが運動前のストレッチは下肢障害を予防するという見解を支持するものではありませんでした(Yeung et al., 2001)。静的ストレッチと怪我の発生率の減少との関係性について、関係があることを示した研究はほんのわずかで(Bixler & Jones, 1992; Cross & Worrell,1999; Ekstrand & Gillquist,1983)、大部分の研究や総説では関係がないことを報告しています(Andersen, 2005; Garrett,1993; Herbert et al., 2002; Hunter et al., 2000; Levine et al.,1987; Shrier, 1999, 2001, 2004; Shrier et al., 2000; Yeung et al., 2001)

<静的ストレッチの実用化>
結論は、練習や試合前のウォーミングアップで静的ストレッチを薦めたり、実施させたりすることは選手に害を与える。練習や試合前に静的ストレッチをすることで、パフォーマンスが向上したり、怪我の危険性が減少したりすることはありません。

国内でも運動後の静的ストレッチは筋疲労回復にも有効ではないという報告がある。

ストレッチングの筋疲労回復に関する研究
The study on effect of stretching to recovery of muscle fatigue
• 坂上 昇 Sakanoue Noboru 高知リハビリテーション学院理学療法学科 Department of Physical Therapy,Kochi Rehabilitation Institute
• 大倉 三洋 Okura Mitsuhiro 高知リハビリテーション学院理学療法学科 Department of Physical Therapy,Kochi Rehabilitation Institute

• ストレッチングはスポーツ活動後に疲労回復を促し,障害予防,パフォーマンスの維持・向上といった目的で実施されている.しかし,その実施状況は決して高率ではなく、その原因はストレッチングの効果が十分に理解されていないためと考えられる。そこで本研究は,健常成人男性4名(平均年齢20歳)を対象に、ストレッチングの筋疲労回復効果について検討した。
自転車エルゴメーターによる30秒間全力駆動を主運動として、その後10分間の休息を取らせることを2セット行った。その休息時に安静臥位、軽運動、ストレッチングを実施した。検討指標として筋柔軟性,血中乳酸値、作業能力、アンケートを取り上げた。筋疲労による筋柔軟性低下の予防効果については軽運動が効果的であり,ストレッチングは大腿直筋においてはあまり効果がなく、ハムストリングスにおいても安静臥位とあまり差がない傾向を示した。血中乳酸値の回復については、ストレッチングは安静臥位と比較すると低い傾向にあるがその回復傾向には差が見られなかった。作業能力の回復については軽運動が比較的良く、ストレッチングが低い傾向を示した.このように,激運動後の筋疲労回復に対してストレッチングは全ての指標において安静臥位とあまり差がなく、効果的でない傾向を示した.今回の結果は,運動後の筋疲労の速やかな回復という観点では、一般的に認識されているストレッチングの効果を否定する結果となった。しかし、今回の結果は、ストレッチングが身体に与える影響を全て否定するものではない。

私の経験からも多くのスポーツ指導者、トップアスリート、小学生、老人、一般女性にスポーツ指導(空手、バレエ、陸上競技、プロボクシング、キックボクシング、レーシングライダー、プロゴルファー、サッカー、プロ野球・・・)を行い 運動前後の静的ストレッチ禁止を指導して良好な成績を得ています。準備運動としての静的ストレッチを禁止してから障害が大幅に減少し、競技パフォーマンスが向上しバランスも良くなり柔軟性がかえって増加した報告が相次ぎました。

世界的趨勢を見ても 国内においてもリスクが報告される静的ストレッチを根拠なく行うスポーツ現場では見直しを求められます。
トップアスリートの指導者、トレーナーとして今後も正しいエクササイズ、セル・エクササイズ(正しいストレッチを含む身体機能向上運動)の普及に努めたいです。

現在、順天大大学大学院医学研究科において小林弘幸教授の下、エビデンスが確立されたセル・エクササイズの研究が進行しています。