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2013年8月24日 土曜日

トレーナー業務の実際


トップアスリートのトレーナーとしてご活躍されています、トレーナーに話を伺ってみました。

―― トレーニング指導だけではない

皆さんはトレーナーと聞くとどんな仕事を想像しますか。トレーナーはプロ、アマを問わず色々なスポーツの話題の中に登場しますが、具体的にはどんな仕事をしているのか、どういった1日を送っているのかをお話しをさせていただきます。
まずトレーナーの主たる仕事ですが、競技の為の身体作りのトレーニングを指導。競技前後のコンディショニング、ケアがあります。 トレーニング、コンディショニング、ケアが出来て初めてトレーナーの仕事をしたと言えると思います。
トレーニング指導業務だけではトレーナー業と言えません。

プロ野球界でトレーナーというとケアを行う鍼灸師の方のことですが、プロボクシング界では技術指導を行う元プロボクサーの指導者の方を意味することが多いようです。

フィジカルトレーナー、メディカルトレーナー、ストレングストレーナー、コンディショニングトレーナー・・・一口にトレーナーと言っても実はいろいろな種類の業務や意味があるのです。


―― セル・エクササイズを主たる指導法として

私の場合トレーニングの指導は、今やプロアスリートやトップアマの間では常識になりつつあるセル・エクササイズを中心に体幹やインナーマッスルを鍛える指導しています。セル・エクササイズにより自律神経の状態を高くバランスのいい状態にして選手自身が持つパフォーマンスを競技中に最大限発揮出来るようにしています。

セル・エクササイズについては、当フルコンタクトカラテのバックナンバーにも掲載されておりますし、読まれてない方はトップアスリートのHPにも詳しく解説が載っていますので一読下さい。コンディショニングについては、競技に最適なパフォーマンスが出せるよう身体の歪みや痛みなど、トレーニングだけでは調整出来なかった部分を手技にて調整します。

副交感神経神経が高まるようなリラックス出来る施術が主になります。ケアは、競技後に疲れた身体、痛んだ身体を手技により調整。再び元気に身体が動くようにします。これらが通常私のトレーナーとしての仕事です。本当はもう一つ大切な仕事がありますがそれは、後ほど。


―― トレーナーの一日



では、トレーナーの一日と題して。私の一日の仕事を追ってみましょう。まず朝ですが、私の場合は様々な競技に帯同しているのでその競技に合わせてとなりますが、ゴルフツアーに帯同の場合はスタート順によりますが、7時スタートならその2時間前には会場に到着します。4時とか3時とかの起床になります。朝食は移動の車の中かゴルフ場に着いてからになります。この起床からの流れは、フィギュアスケートの帯同も時間帯が同じです。

フィギュアスケートは試合が午後7時からが多いのですが、公式練習が午前6時からひどいと5時過ぎからなどになるので、フィギュアスケートの会場はゴルフ場と違って朝食を食べる飲食店が無かったりします。

それにしても、午後7時の試合で公式練習が午前6時とかなので選手もその間の時間潰しが大変です。製氷などのスケジュールの都合もあるでしょうが選手の体調の為にももう少しスケジュール何とかならないのかなと思います。

どちらの競技の場合も会場についたらアップやコンディショニングの出来る場所の確保をします。そして選手が着替えなどの用意をしている間、ライバルの選手の顔色や動きなどを偵察します。選手が来たらコンディショニング、アップを開始します。だいたい30分位行い、競技練習を開始します。

ゴルフの場合ショット練習、パター、アプローチとしていきます。その動きをみて身体のバランスが上手くいっているか確認して上手くいってない場合は再度調整します。そしてスタートしていきます。ゴルフの場合だとティーグランドに選手が立ってアドレスに入ったらトレーナーもコーチもホールアウトするまで、一切アドバイスできません。アドバイスどころか声掛けもペナルティをもらう恐れがあるのでできません。まあ大声のひとり言は大丈夫みたいですが(笑)という事で選手がホールアウトするまで、仕事はありません。通常は選手についてギャラリーと一緒に歩いて最終ホールまで行くのですが、よく他の選手の試合とバッティングします。

例えばプロ野球選手が昼ごろになると練習を始めます。その前にコンディショニングをするため球場等に移動。昼食は車の中でとることになります。選手は軽いトレーニングをしてバッティングやピッチングの練習をします。その前に身体が動くように手技にて調整して動きを見て、悪い部分があれば随時調整していきます。

そして練習後軽いケアをして試合に向けて体調を整えます。この間にゴルフの選手がホールアウトする時間が迫って来るので、ゴルフの会場へ移動します。ホールアウトしてきた選手にケアをします。明日も試合があるので念入りに身体の痛みや疲労を確認しながら行います。これらが終わると15時くらいです。


そろそろゴルフや野球、サッカーフィギュアスケート等のジュニアの選手が学校が終わり練習を始める頃です。急いで自分のスペースに戻り、やって来るジュニアの選手達にトレーニングやケアコンディショニングを行います。時には選手一人ひとりの競技だけでなく人生の悩み事までも相談にのります。これがトレーナーのもう一つの大切な仕事です。トレーナーは選手のそばに居るという事が一つの大きな意義になります。彼らに安心感を与え心を安定させるのがトレーナーの存在意義だと思います。そんな指導をしていると20時を過ぎてきます。

この頃になると、一般の方の担当時間になります。仕事を終わられてケアだけお望みの方もいらっしゃいますし、仕事をされながら各種アマスポーツをされていて、そのためのトレーニングやコンディショニング、ケアの方も多いです。それぞれの悩みを伺い、生涯好きなスポーツが出来るよう指導させて頂きます。だいたい一般の方が終わるのが23時頃になります。するとそろそろプロ野球のナイターも終わり選手達は着替えて食事を済ませて帰宅してきた時間です。ここからはプロ野球選手のケアの時間です。

私のスペースにみえる選手もいますが、もっぱら選手宅に伺います。人気選手の場合だと試合後あちこち出歩くのもファンに見られて嫌だという理由もありますし、自宅だとケア後そのまま就寝出来るという最高の理由からです。

ここでは今日の試合の上手く動けた点や、逆に上手くいかなかった事。それは何故か等時にはテレビ中継の録画を観ながら動きの解説をして、どうして上手くいかなかったか、どうすれば良くなるかを指導します。そして最終的にはグッスリ眠れるように手技でリラックスさせます。途中で寝入ってしまう選手が圧倒的に多いですが。終了して帰宅すると25時か26時になります。30分程自分のトレーニングをして就寝します。

明日も試合で5時起床です。こんな感じの毎日です。試合がない時には、老人ホーム等で高齢者の機能回復の指導や、ケア。学校で学生たちへセル・エクササイズの指導。各種施設やイベントでセル・エクササイズの講演をしています。セル・エクササイズはコンディショニング法としてもトレーニング法としてもケア法としても極めて有用です。しかも、ジュニア、高齢者からトップアスリートまで老若男女問わず行うことが出来る唯一の医学的根拠がある身体能力向上エクササイズです。
このエクササイズを勉強し指導者として身につけたことは担当させていただく対象の幅が広がっただけでなく効率よいトレーニグ指導ができるようになりました。

従来のウエイトトレーニグやサーキットトレーニグを私自身、教える必要も無くなりました。
いつでも、どこでも、誰でも、短時間で、リスクなく、器具なく、簡単にできる必須のエクササイズです。準備運動も整理運動もこれだけで十分で ストレッチは一切不要です。ストレッチにトレーニング指導時間を割いていた頃のことを思うとトレーナー業務の負担が大幅に軽減されました。


―― 夢を叶える手助けを

現在では、プロ、アマ、一般や高齢者を問わず健康で楽しい人生を送る事が出来るようトレーナーとして指導させて頂いています。途中にも書きましたが、トレーナーは決して主役になる仕事ではありません。常に裏方さんです。いつもどんな時でも選手のそばに居る存在です。時には選手より勝つ事にこだわり。選手とともに泣き、笑うそんな存在です。私はいつも選手が勝った栄光は選手のもの。しかし負けた責任は自分の責任と思い選手のそばに居ます。沢山の選手の栄光と挫折を見てきました。そのひとつひとつ彼らにとって大切な体験であり人生です。そんな場所に居られる事の幸せを感じまた責任も感じています。



選手がトレーニングするように私も常に必死で勉強をしています。末武信宏医学博士から直接指導を受け、いつも最新の論文や専門誌に目を通し、トレーニング法やコンディショニグ法の研究にも余念がありません。専門医以上に運動生理学や解剖学、自律神経学、スポーツ医学の勉強はトップアスリートを指導するためには当然の義務であり必要条件です。末武先生の下で働くようになってから多くを学び経験しました。

優れたトレーナーとは最先端のトレーニグ法を教えることが出来るのではなく、担当するアスリートの能力や体調など現況を具体的にしっかり把握でき、改善法や解決法を適切にアドバイスできること。なのです。

ストレッチひとつとっても静的ストレッチがすでにコンディショニングに全く意味がないばかりかかえって競技パフォーマンスを低下させる、筋肉痛や疲労回復効果は一切無いことはすでにスポーツ医学の世界では常識です。
しかし、未だ多くのトレーナーは静的ストレッチを準備運動としても整理運動としてもアスリートに強要している現状があります。

トレーナーの世界は狭く情報が限られます。勉強をしなければすぐにガラパゴス状態になってしまいます。スポーツ医学を専門医の下で学び経験することで視野も広がり正しいトレーニング理論やコンディショニング理論を身につけることが出来ました。

アスリートの皮膚外傷でも多くのトレーナーはすぐに消毒をさせていますが、医学の世界では外傷への消毒行為は行ってはいけない処置です。水道水の洗浄と湿潤治療が原則で入浴制限もありません。塩分が含有した水を摂取することは常識でアスリートへのどの渇きを我慢させることはありません。
根性論だけではもはやアスリートのトレーニング指導はできないのです。

一つでも多く彼らの力になれるように、夢を叶える事の手助けが出来るように。競技を、いや人生をより楽しくより強くしていくのにトレーナーはきっと貴方に最適なアドバイスをくれます。選手の皆さん、また一般の皆さんもいいトレーナーとの出会いは貴方の人生を実りあるものとしてくれるでしょう。いいトレーナーを探してみてください。

トレーナーを目指す皆さんは、プロ意識をしっかり持って誰よりも勉強しましょう。謙虚に他の分野の方々のご意見にも耳を傾けてください。独自の理論を開発して選手を指導していくことも貴重ですが、選手の体調をいつも正確に把握できる知識と技術を持つことはもっと大切です。
その結果がありがとうと言われる数になります。誇りを持てるように。

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