最新スポーツ情報

2014年3月22日 土曜日

腸内環境は身体能力アップのカギ

アスリートにとっての腸内環境の重要性

―― 良い食事を活かすには

アスリートにとって、戦うための体作りや、栄養補給、そして戦った後の回復に、食事は重要事項です。日頃より、栄養バランスを考えた食事メニューや、それを補完するためのプロテインやサプリメントの摂取など、「良い食事」を心がけておられると思います。これら口から入った食べ物は、消化器を経由して、消化、吸収され、やがて便として排出されます。

最近、テレビの健康番組や、雑誌や新聞の特集記事で「腸」という言葉をよく聞くようになりました。腸といえば、食べたものを分解し、栄養として吸収する、重要な器官であることはご存じの通りです。腸の環境を整えることは、「良い食事」の効果を最大限に活かすために、欠かせません。腸を「鍛える」ことはできませんので、「整える」ことが重要です。

私の上司である順天堂大学医学部総合診療科 小林弘幸教授が、数多くのテレビ番組で腸内環境の重要性を解説されていますのでご覧になられた方も少なくないでしょう。



―― 腸内に棲む細菌達

その腸の中には数百種類もの「腸内細菌」が棲み着いており、その総数は100兆個とも、それ以上ともいわれています。人間の場合、体を構成する細胞の数はおよそ60兆個とされますので、腸の中の細菌だけでもそれよりも多いことになり、「人間」という生き物は「細菌」に支配されているようにも思えます。腸の中(人間からすると外側ですが...)は広げるとテニスコート一面くらいの面積があるとされ、そこに棲むこれらの細菌達の助けも借りて、人間は食べ物を消化し、そして栄養の吸収を行っています。これら多くの細菌達と、仲良く共存することが、「良い食事」の効果をいっそう引き出すと考えられます。

腸内細菌は、腸の環境を決定する、大きな要因の一つです。生まれてすぐの赤ちゃんの腸内には「ビフィズス菌」と呼ばれる細菌しか、ほぼいないとされています。後に述べますが、このビフィズス菌は、いわゆる善玉菌のため、においの元となる腐敗物質を出しません。そのため、赤ちゃんの便は臭くありません。そこに、いろいろな形で外から菌が入り込み、前に述べた数百種類、100兆個の腸内細菌となります。

ここで一つ「うんちの蘊蓄」。普通であれば毎日出る便ですが、実は食べたかすばかりではありません。
およそ半分以上は、腸内に棲む細菌の死骸であるとされています。おおよそですが、1グラムあたり便で10億個くらい、全体では数兆個もの死骸が毎日排出されています。なので、断食などをしても、便は出るのですね。


―― 腸内細菌の種類

これらの腸内細菌ですが、大きく3つの種類に分けることができます。

まず一つは善玉菌。ヨーグルトや乳酸菌飲料に含まれる乳酸菌やビフィズス菌などがこれにあたります。これらの細菌はその名の通り乳酸や酢酸などの酸性物質を出すことで、腸内を酸性に保ち、いわゆる悪玉菌といわれる腐敗菌の活動を抑えてくれます。善玉菌がきちんと働いていると、便やおならは臭くなくなり、色も黄色っぽくなります。
更に近年の研究では、これら善玉菌自体や、それらが出す物質などが外敵から身を守る「免疫」を活発化させることが分かってきました。昨年あたりから爆発的に売れている、「インフルエンザを抑える」ヨーグルトなど、体の免疫力をアップするとされています。

二つ目は悪玉菌。悪玉菌は腸内で腐敗物質を出したり、その仲間には食中毒を引き起こす輩もいる細菌です。代表的なものがクロストリジウムですが、仲間にはボツリヌス菌、破傷風菌、ウェルシュ菌など悪そうな種類がいます。
ただ、このクロストリジウム、野菜などに含まれるセルロースを分解するには必須の仲間もいますし、「酪酸」という物質を出して、腸内を酸性にする菌もいます。さらに、最近の研究では、免疫によい作用を及ぼす仲間も見つかり、あながち「クロストリジウム=悪玉」ということではなさそうです。

そして3つめが日和見菌。腸内にいる細菌としては、最大派閥となっていることが多い細菌ですが、その働きに関しては、分からないことが多い細菌達です。その名の通り、「日和見」しており、腸内の善玉菌がきちんと働いている状況では、おとなしくしており、悪玉菌によって腐敗の状況になると腐敗菌(悪玉菌)として働くとされています。
ただ、この動きも含めて、分からないことが多い細菌です。

先程も述べましたが、産まれたばかりの赤ちゃんの腸内細菌は、ほぼ100%善玉菌です。それが、離乳食が始まる生後1年くらいまでの間に色々な細菌が入り込み、その人特有の腸内細菌バランスを形成します。
腸内細菌のバランスですが、同じように育った兄弟でも、食生活に共通項が多い親子、夫婦でも十人十色、全く違う場合もあるとされています。また、どのようなバランスが「人間」としてベストなのか、はっきりとは分かっていません。1点、共通の認識としては、善玉菌の割合が二割程度であることが良いとされています。


―― 腸の中のお花畑

この腸内細菌のバランスですが、「腸内フローラ」とも呼ばれます。
この言葉も最近よく耳にするようになりましたが、フローラとは「お花畑」の意味です。腸の中にいる数百種類の細菌を色とりどりのお花に見立て、入り組んだお花畑のようであるという意味です。以前より、腸内フローラを検査する方法はありましたが、非常に特殊で難しい方法であり、一般的ではありませんでした。最近、腸内細菌の遺伝子を検査することで、非常に少量(米粒くらい、0.1グラム)の便から、腸内フローラが検査できるようになりました。
まだ一部のクリニックでしか受診できませんが、現状の腸内細菌のバランスを、非常に簡単に知ることができます。

この検査が開発されたことにより、年齢、性別の他、食生活によっても腸内細菌のバランスに傾向があることが少しずつわかってきました。幼少時に形作られるバランスですが、その後の生活によっても、変化させることができることもわかってきました。我々が着目する自律神経の調節によっても、腸内環境、腸内フローラに影響があるのでは無いかと考えています。


―― 自分の腸内細菌が検査できる

従来の検査法では、スプーン一杯程度の便を採取し、それを急速に冷却し、検査をする必要がありました。腸の中は空気(酸素)がほぼ無いため、その環境でも生きられる細菌が大半です。それらの菌は空気に触れると、直ぐに死んでしまうため、急冷します。

さすがに自宅の冷蔵庫には入れたくありませんので、医療機関や検査期間での採便が基本でした。現在では、「腸内環境検査 フローラチェック」により、写真にあるようなペンシル型の専用キットで、米粒程度の便を取るだけで、検査が可能となりました。量が微量のため、ほとんど臭いもなく、冷却する必要もないので、自宅で採取が可能です。それをクリニックまで持参、もしくは郵送すれば、検査は完了。およそ3週間後には結果報告書が手元に届きます。



1回目の検査では、通常時の腸内フローラが分かります。その段階で、善玉菌の割合が前に述べた二割に満たない場合、増やす手立てを講じましょう。また、善玉菌、悪玉菌、日和見菌のバランスが大きく崩れている場合も注意が必要です。最重要課題である食生活の改善では、野菜など、食物繊維を意識した食生活を送ることで、善玉菌によい影響を与えるのではないかとの情報が出てきています。
これ以外にも、えさとなって善玉菌を喜ばせるオリゴ糖や食物繊維といった、いわゆる「プレバイオティクス」の健康食品やサプリメント。

ヨーグルトや乳酸菌飲料といった生きた善玉菌を含む食品や、カプセルや錠剤にした「プロバイオティクス」の商品などの摂取により、効果がある人では1から2週間で変化することも確認されています。最近では、プレバイオとプロバイオを組み合わせた「シンバイオテクス」や、「バイオジェニックス」と呼ばれる商品も登場してきています。

腸内細菌叢検査として便を採取しなくてもバランス状態やコンディショニングの大まかな状態は血液機能分析検査でもわかります。

血液を小指から数滴採取して 高解像度の顕微鏡システムで 生きた血液(Live Blood Cell)と凝固血液状態を観察します。これにより腸内の酸化状態を含め腸内細菌叢のバランスがわかります。

変化を確認するには、「これだ」と決めた生活をした後、再度検査を受けましょう。再検査を受けた場合、結果報告書には「前回と今回」の結果が比較のグラフとして提示されます。但し、これらの方策を試しても、人によって変化があったり、なかったりすることも事実です。原因は、その人の現状の腸内細菌のバランスであったり、摂取した商品との相性などもあると考えられます。自分に合ったものが見つかったら、体の変化、状況と相談しながら、継続することで、腸内環境は良好に保たれます。


―― 最新の「腸」事情

最新の研究では、がんの予防や、ウィルス・細菌などの外敵から体を守る「免疫機能」にも、「腸」が深く関わっていることが分かってきました。昨年くらいから、「インフルエンザ予防」をうたったヨーグルトが、爆発的に売れています。腸内の環境を整えることで、栄養吸収はもちろん、病気の予防にもつながる可能性が出てきました。

まず、現状の自分の腸内細菌のバランスを知り、善玉菌の割合が少なければ増やす手立てを講じることは、腸内環境改善の第一歩と考えられます。善玉菌を増やすにはどうしたら良いか。

先程ご紹介したプレバイオティクスやプロバイオティクスを取り入れることもあるでしょう。もしくは、自分の食生活を再度見直し、食物繊維や発酵食品が少なければ、そこを意識することも効果があるかもしれません。腸内環境を整えることで、口から入る様々な食べ物、栄養素、サプリメントを効率よく吸収し、さらには病気に負けない体作りをしていきましょう。


―― 腸内環境はコンディショニングのカギ

私のクリニックでは、便秘外来としまして ビオスリーといういわゆる3種類の善玉菌を含んだお薬の処方と「メディコロン」という水溶性食物繊維のサプリメント処方を行っています。

メディコロンはすでに多くのトップアスリートにも愛用され 私自身、毎日摂取しています。下痢にも便秘の改善にも有効性が確認されています。

腸内環境を正しく整えることは、健康のみならずアスリートのコンディショニングにもつながります。
同時に これまでも何度も紹介させていただいています、自律神経機能アップエクササイズであるセル・エクササイズを行うとさらに腸の環境、機能の向上が期待できるでしょう。
是非、お試しください。

 


カレンダー

2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

お問い合わせ