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2013年9月23日 月曜日

正しいウエイトトレーニグの理論と実践を学んでパワーアップ


ウエイトトレーニングは格闘技はもちろん、多くのスポーツ現場で採用されています。しかし、筋肉は鍛えれば鍛えるほど強くなるのでしょうか?今回から3回に渡ってウエイトトレーニング講座を行なっていこうと思います。

―― ウエイトで筋肉は太くなる?

ウエイトトレーニングは、多くのスポーツ現場で当たり前のように基礎練習で導入されていますが、理論的で最新理論を学ぶ機会は残念ながら少ないのが現況です。
3回のシリーズにわたって 国内最高峰のウエイトトレーニングのスペシャリスト、多くのトップアスリートのフィジカルトレーナー、世界的なボディビルダーとしても活躍されています 山本義徳 トレーナーにウエイトトレーニングの理論、実践、有効性を解説していただきます。

ウエイトトレーニングは正しく必要に応じて行わないと 動作スピードの低下、スタミナロス、肉離れなどの障害も起こりやすくなる場合もあり注意が必要です。トレーニグとしてもろ刃の剣とも言えるでしょう。

自己流で腕を太くする目的で上腕二頭筋を発達させる目的でアームカールを何セット行っても全身のパワーが向上するとは限りません。むしろ部分的なウエイトトレーニングによる筋肉肥大で体幹のエネルギーが末端へ伝わりにくくなることもあります。インナーマッスルとのバランスも悪くなります。

必要性に応じた正しいウエイトトレーニングの理論と実践を是非、この機会に学んでいただけましたら幸いです。

ウェイトトレーニングを行えば、筋力は増大し、筋肉も肥大する。これはもはや常識です。しかし、なぜトレーニングによって筋肉が発達するのでしょうか。


―― なぜ筋肉が発達するのか?

「超回復することによって、筋肉は前よりも強くなる」。一般的にはそう考えられています。トレーニングによる刺激を受けることにより、筋肉は損傷して疲労困憊し、一時的に筋肉がダメージを受ける。しかし36~72時間ほど経つと、元の水準に戻る。さらに時間が経過すると、「また筋肉が壊されてしまわないように」元のレベル以上に大きく、強くなる。この現象が一般的に「超回復」と呼ばれるものです。

しかし、実はそうではありません。「筋肉の超回復」は「グリコーゲンの超回復」と混同されていたのです。いわゆるカーボ・ローディングのことであり、「トレーニング後、36~72時間後にグリコーゲンが超回復する」現象のことが、いつの間にか筋発達にも適用されるようになってしまったのです。

では、実際に筋肉が発達するメカニズムとはなにか。それは「ストレスに対する適応現象」です。
カナダ人の生理学者であるハンス・セリエは、「ストレス学説」というものを唱えました。私たちの身体は寒冷や騒音、放射線のように正常な生命活動をおびやかすものに直面すると、それらから身体を守ろうとします。この「正常な生命活動をおびやかすもの」を「ストレッサー」と呼び、ストレッサーによって身体が起こす反応のことを、「ストレス」と呼びます。
ストレッサーには先ほど挙げた例のような物理的要因だけでなく、怒りや不安のように精神的なものや、怪我や病気など生物的なもの、また薬物による化学的なものもあります。もちろん、ハードなトレーニングもストレッサーとなります。

そして私たちの身体はストレスを受けると、それに「適応」しようとします。この「適応」は3段階に分けられ、それぞれ「警告反応期」、「抵抗期」、「疲弊期」と呼ばれます。なお警告反応期は「ショック相」と「抗ショック相」とに分けられます。
これを身近な例で解説してみましょう。全く経験のない人が、いきなり巻き藁を叩きはじめたとします。
最初の日は、拳が痛くなるはずです。これが「ショック相」です。しかし1日すれば痛みは消えるでしょう。それが「抗ショック相」です。
そして巻き藁を叩きつづけるうちに、拳ダコができてきます。それが「抵抗期」です。しかし連日何時間も無理に叩き続けると、逆に拳を傷めてしまいます。それが「疲弊期」です。

警告反応期ではストレスに身体がビックリしている状態、抵抗期はストレスに身体が適応してきている状態、そして疲弊期はストレスに身体がやられてしまった状態だと考えてください。


―― ウエイトの効果を継続的に得るためには

これと同様に、ウェイトトレーニングを行うと最初のうちは筋肉痛が起こります(警告反応期:ショック相)。そして数日すると、筋肉痛が消えます(警告反応期:抗ショック相)。

さらにウェイトトレーニングを継続すると、筋肉が発達してきます(抵抗期)。しかしハードにやり過ぎると、「疲弊期」に入ってオーバーワークとなります。すると逆に筋肉が落ちたり怪我をしたり、免疫が低下して体調が悪化したりします。

オーバートレーニングによる肉離れと内出血:山本氏

突きや蹴りの練習は全身を使うため、疲労はするものの、個々の筋肉に大きなダメージが与えられることはありません。このような練習は、やればやるほど効果も伴ってきます。
しかしウェイトトレーニングの場合は個々の筋肉に強いダメージが与えられるため、容易に疲弊期に陥ってしまいます。そのため、ウェイトトレーニングで継続的な効果を得るためには、オーバーワークにならないように注意を払う必要があります。

とはいえ量や強度が低過ぎると、今度は十分なストレスを与えることができず、筋肉が適応しようとしません。つまり、発達しないわけです。では、オーバーワークにならず、筋肉が十分に適応しようとするトレーニングの量と強度は、どうやって見つければ良いのでしょうか。


―― タンパク質の第一次構造~第四次構造ができるまでの流れ

ここで、筋肉が発達するときの流れを分子生物学的に追ってみましょう。筋肉が発達するときのストレッサーとしては、主に次のようなものが挙げられます。

1.機械的物理的ストレス
2.細胞内カルシウム濃度の変化
3.虚血→再潅流と、それにともなう筋肉内酸素濃度の変化
4.活性酸素の発生


これらの刺激によってDNAにメッセージが伝えられ、筋タンパクが合成されます。

さて、筋肉すなわちタンパク質を合成する工場はリボゾームであり、また筋肉の材料となるアミノ酸は核外にあります。よってDNAの情報を書き写して核外に持出す必要が生じ、この時に働くのがメッセンジャーRNA(mRNA)です。

刺激によるメッセージを受け取ったDNAの情報はmRNAに転写されて核外に運び出されますが、このとき必要な遺伝子領域(エキソン)だけが取り出され、余計な領域(イントロン)は除去されます。これをRNAスプライシングと呼びます。さらに5'末端への7-メチルグアノシンキャップ構造の負荷、3'末端へのポリ配列の負荷、メチル化などの修飾が行われ(RNAプロセシング)、成熟したRNAとなります。そしてmRNAはタンパク合成工場であるリボゾームの粗面小胞体に辿り着き、そこでトランスファーRNA(tRNA)によってアミノ酸が配列され、ペプチド結合していきます。



このようにしてつくられる最初のアミノ酸配列を、「タンパク質の第一次構造」と呼びます。
イメージとしては、アミノ酸が一直線に鎖のように並んでいる状態です。
そして鎖の途中、ところどころでアミノ酸同士に引力が働くと、鎖はからみあった糸のようになっていき、らせん状のαへリックス、板状のβシートと呼ばれる構造を作ります。これをタンパク質の第二次構造と呼びます。

そして第二次構造タンパク質が、さらに引力によってからみあい、それが球状になったとき、これはタンパク質の第三次構造となります。この第三次構造のタンパク質がいくつか結合すると、最終的にタンパク質の第四次構造というものができあがるのです。筋タンパクが合成されるとき、これだけの複雑なステップが行われているのです。


――  筋発達に必要な刺激とは?

さて、ここで話を最初に戻しましょう。筋タンパクを合成するためには、「発達せよ」というメッセージがDNAに伝わらなければなりません。では、どれくらいの刺激を与えればメッセージは伝わるのでしょうか?
実は非常に単純な話です。現在の筋肉の能力が100だとしたら、101の刺激だけを与える。それで十分なのです。もっと強い刺激、例えば200の刺激を与えたら、もっと強いメッセージがDNAに伝わるのかというと、そんなことにはならないのです。

電灯をつけるときのことを考えてみましょう。スイッチを一回押せば、それで電気は点きます。
これが"メッセージが伝わった"ということ。200の刺激を与えるというのは、スイッチを強く押す、あるいはスイッチを押しつづける、ということであり、どちらも全く意味がないのです。
むしろ、余計な刺激を与える事は回復を遅らせ、オーバーワークに繋がりかねません。

トレーニングを行った翌日に筋肉痛が発生していれば、明らかに101以上の刺激は与えられています。逆に筋肉痛が何日も続くということは、無駄に強い刺激を与えているだけなのです。何時間もハードにトレーニングし、何日も筋肉痛になる。それではトレーニングをやったという自己満足は得られても、筋肉を効率的に得ることはできません。


―― 物理的刺激と化学的刺激

筋肉が発達するときのストレッサーとして、「機械的物理的ストレス」を第一に挙げました。一般的なウェイトトレーニング、すなわち1RMの70~90%の重量で行うヘビーなトレーニングは、まさに筋肉に機械的物理的ストレスを与える作業に当たります。

しかし最近になって、軽い重量でのトレーニングも筋発達を促すということが判明してきました。1RMの30~40%程度の重量で多くの回数をこなすことにより、筋肉内に水素イオンやアンモニアなどの疲労物質が蓄積し、また酸素やATPの不足、活性酸素の発生などが起こります。このような筋肉内の環境悪化が、筋肉に「化学的ストレス」を与え、筋発達を促すと考えられています。なお軽い重量でのトレーニングはミトコンドリアの発達を促し、筋持久力を増大させます。


―― 細胞外マトリックスについて

ウェイトトレーニングにおいてはアクチンやミオシンなどの収縮タンパク質やミトコンドリアなどの他に、細胞外マトリックス(ECM)の発達も起こります。ECMとは細胞と細胞をつなげる接着剤のようなものであり、主骨格はコラーゲンです。
そしてECMを増大させるためには、特にストレッチ刺激とネガティブ刺激が重要となります。



ベンチプレスを例にとってみましょう。バーを胸に付けたとき、大胸筋や三角筋前部、上腕三頭筋はストレッチしています。そこからバーを持ち上げると、これらの筋肉は収縮します。このように収縮しながら筋肉が力を発揮することを、短縮性収縮(ポジティブ)と呼びます。
バーを持ち上げて、今度は下ろしていきます。このときは筋肉が伸ばされながら力を発揮していきます。これを伸張性収縮(ネガティブ)と呼びます。

ですからベンチプレスのときに、バーを胸までストン!と下ろしてしまうようでは、ネガティブでの刺激が与えられません。また胸の上で弾ませてしまうと、ストレッチした状態で負荷をかけることができません。
つまりベンチプレスの効果を最大限に得るためには、バーはゆっくり下ろし、胸の上で弾ませずにコントロールしながら切り替えして挙げるようにすることがポイントとなります。



山本義徳山本義徳(やまもと よしのり)

1969年3月25日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。

◆ボディビル歴
・1991年東京都パワーリフティング大会優勝
・オッシュマンズベンチプレス大会15回連続優勝(最高記録250kg)
・1994年東京都ボディビル選手権優勝
・1995年アジアボディビル選手権3位(ライトヘビー級)
・1998年NPCアイアンマン・アイアンメイデン(ボディビルの全米大会)ライトヘビー級にて日本人初の優勝
・2005年NPCトーナメント・オブ・チャンピオンズ ヘビー級にて日本人初の優勝

◆著書
・体脂肪を減らして筋肉をつけるトレーニング(永岡書店)
・「腹」を鍛えると(辰巳出版)
・サプリメント百科事典(辰巳出版)
・かっこいいカラダ(ベースボール出版)
など30冊以上

◆指導歴
1992年~1996年:池袋ユニコーンにて日本ボディビル連盟指導員として
1997年よりパーソナルトレーナーとして独立。

◆指導実績
・鹿島建設(アメフトXリーグ日本一となる)
・五洋建設(アメフトXリーグ昇格)
・ニコラス・ペタス(極真空手世界大会5位)
・ディーン元気(やり投げ、オリンピック日本代表)
・清水隆行(野球、セリーグ最多安打タイ記録)
その他ダルビッシュ有(野球)、松坂大輔(野球)、皆川賢太郎(アルペンスキー)、CIMA(プロレス)などを指導。

 


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