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2011年6月14日 火曜日

驚異の再生医療・PRP療法 あのメダリストが蘇った!!




前回は創傷処置の正しい方法や理論を解説させていただきました。今回は最新の治療法である再生医療を応用したPRP療法をご紹介させていただきます。



再生医療とは

国内における唯一のアスリートへのPRP療法の臨床研究機関として私どもは現在、順天堂大学医学部と研究を進めています。

日本の政府や再生医療を進める団体は再生医療の研究を「細胞移植・組織移植により、これまで不可能であった変性疾患の根治を目指した革新的医療技術である」と定義しています。つまり 使えなくなったり、老化したりした体の一部を、「再生」させて蘇らせようという医療のことで、例えば、火傷で傷ついた皮膚の代わりに、人工皮膚や自分の皮膚を培養した物を使ったりする治療や、白血病患者さんに骨髄移植したりする治療が有名です。つまり自分自身の細胞や他人の細胞、あるいは他の動物の細胞に対し、細胞の外から何らかの工夫を加えてその細胞の持っている能力を身体の中で発揮させ、機能を回復させる治療法です。





再生医療の最新の動き

文部科学省は、これまで禁止されていたヒトES細胞、ヒトips細胞およびヒト組織幹細胞から生殖細胞を作成する研究を解禁しました。これにより京都大学の中山先生などによる先進的な研究が、各大学、研究機関で進んでいます。ヒトES細胞等を分化させて生殖細胞を作成することが可能になれば、生殖細胞の成熟・分化機構の検討が可能となり、多くの疾患の原因解明や新たな診断・治療方法の確立につながります。

 




再生医療とPRP

自己細胞を利用した組織再生と若返り・創傷治療を行う方法に自らの血小板を用いたPRP注入療法があります。PRPとはPlatelet Rich Plasma (多血小板血漿)の略でこの治療法は自分の血小板の濃度を高めて使用することから正式には多血小板血漿注入療法と呼ばれています。

この治療は自分の血液から採った血小板を使うため拒否反応がなく、ウイルスの感染などの心配もない安全な方法です。PRP注入療法による組織の若返りやしわの軽減などの美容分野への応用は2006年に日本で初めて開発されました。国内では美容では大きな臨床的実績があります。 

血小板な血液中に含まれる細胞の一つです。血液は血球と液体成分の血漿からなり、血球には赤血球、白血球、血小板があります。赤血球は約120日生存しますが、血小板は約7日ほどです。血小板は直径2μと赤血球、白血球などに比べて小さく、数も血球全体の1%程度です。

血小板は止血効果、創傷治癒効果の2つの働きを持っています。


 




血小板を利用した治療の歴史

血小板を用いた治療はアメリカ・マイアミ大学の外科医であるロバートマークス博士らが中心になり1990年ごろから始められました。マークス博士は著書の中で「1990年代の初めから今日までに、血小板に含まれる増殖因子は創傷治癒の驚くべき力を持っていて、血小板がすべての人間の創傷治癒を開始する重要な細胞であることが発見された」と述べています。

血小板は傷の治療だけでなく、若返りにも効果があります。

血小板は、内部の貯蔵類粒を特っていて、貯蔵顆粒は3種類の顆粒、(1ysosoma1顆粒、dense顆粒、alpha顆粒)から成り立っていて、alpha顆粒には増殖因子の貯蔵がされています。 血小板は血管中を循環している間は休眠状態(不活性)ですが、傷が出来ると活性化し、まず止血のために凝固を促進し、そして傷の治療の為、組織修復に必要な増殖因子を放出します。

血小板から放出される増殖因子にはそれぞれ役割を持った次のようなものがあります。


1. 血小板由来増殖因子

2.トランスフオーミング増殖因子

3.血管内皮増殖因子-VEGF

4.上皮増殖細胞-EGF

5.繊維芽細胞増殖因子-FGF


PRPを注射するため極細の針を注射器に装着
PRPを注射するため極細の針を注射器に装着

PRP注射する前、イソジンによる消毒処置
PRP注射する前、イソジンによる消毒処置

PRP療法は国内ではしわやたるみを改善させる美容医療からスタートしました。
PRP療法は国内ではしわやたるみを改善させる美容医療からスタートしました。

 




PRP療法とそのメカニズム

PRP療法は血小板が持っている、傷を治し、組織を修復し若返らせる力を、増加、加速促進させます。高濃度の血小板(PRP)を作り、創傷治癒をさらに促進させるように働かせます。そのためには高濃度の血小板の採取とその活性化が必要です。

大きな治療効果に必要な血漿の血小板数については色々な意見がありますが通常の血小板数の4~7倍で臨床上効果があると言われています。

人の血液中の血球は普通、血小板が1%程度です。PRPは血小板の濃度が約94%~96%で残りは少しの赤血球と白血球です。血小板の数を増すことで、治癒に有用な影響を及ぼす増殖因子の作用を強めるのがPRPの使用の意義です。


 




PRPはどのように機能するのか

PRPの作用は血小板中のα顆粒が放出する成長因子によります。これらの成長因子の放出は、凝固反応の過程で開始され、凝固開始後10分以内に始まります。その時点で合成されていた95%以上の成長因子は1時間以内に放出さます。

ほとんどの成長因子と同じように血小板中のα顆粒中の成長因子は働き出すまでには一定の過程が必要で、その過程で生物的活性を持った完全なものとなります。

PRP 製作には遠心器を使用し、清潔下で行われ、血小板を赤血球やその他の成分から高速化で分離、しかも血小板を壊したり傷つけないように抽出します。


 


 

PRPの若返り、創傷治療、組織障害への応用の実際と症例

PRP注入による皮膚組織の若返り治療法は自己の細胞を利用するため、この療法を自己細胞による若返りを意味するACR療法(Autologus Cell Rejuvenation,)ともいいます。

ACR療法(PRP注入療法・多血小板療法)は2つ目の、血小板が傷を治す効果を応用した治療法で、肌全体の若返りや傷ついた組織の修復を図ります。しかも自らの血液を20cc程度利用するのみで、副作用もアレルギー反応もありません。効果には個人差がありますが、約1~3ヶ月程度かけて肌状態の改善が実感、効果も1-2年程度持続します。

慢性アキレス腱炎などの治療では2週間ほどで劇的な効果が出現し、半年以上効果が持続します。


◎ACR療法の特徴と治療対象

しわ・たるみ・きめの改善
傷の治癒促進(火傷、肉離れ、骨折、靭帯損傷、アキレス腱炎・・・)
にきび痕
肌の若返り
火傷
皮膚外傷
皮膚壊死
テニス肘
ゴルフ肘
肉離れ
アキレス腱障害
靭帯損傷
ガングリオン

採血した血液を遠心分離して高濃度血小板血漿(PRP)を製作
採血した血液を遠心分離して高濃度血小板血漿(PRP)を製作

 




PRP療法の流れ

まず自己血液を20ccほど採血します。

自己血液を約20cc採血する
自己血液を約20cc採血する


非常に安全で性能のよい良いPRP作成用のマイセルキット、(My Cells kit)がイスラエルから発売され、これによりクリニックでも安全にPRP療法が出来るようになりました。マイセルキットはアメリカのFDAおよびヨーロッパCEマークを唯一取得した非常に安全性の高いものです。

採血された血液は遠心分離され、血小板を含んだ血漿部分と、赤血球とにゲルセパレーターの働きで分離されます。この血漿の下の部分約1ccに高濃度の血小板が集まっていて、この部分をPRPと呼びます。この部分のみを注射器に取り治療に使用します。

PRPが 有効に働く為には採取された血小板が破壊されずに生きている必要があり、血小板が有効に働き、皮膚再生が行われる為には、活性化されて増殖因子が放出される必要があります。

マイセルキットで採取されたPRPの注入法は、極細の針で損傷組織や肌へ注射します。


分離され製作終了したPRP。株式会社ベリタス資料提供
分離され製作終了したPRP。株式会社ベリタス資料提供

直接患部へPRPを注射する。注射量は1か所0.1cc程度
直接患部へPRPを注射する。注射量は1か所0.1cc程度

 




PRPの他領域への応用



安全で臨床効果の優れた自己の血液を使うPRP療法は美容分野のみならず歯科領域、関節炎、腱鞘炎など整形外科分野への実用化がすでに米国を中心に進んでいます。又、皮膚移植、やけど治療、動物の治療への応用など今後ますます活発に研究と実用化が進むと思われます。

国内では、アンチエイジング治療として美容分野へ導入され広く普及しておりますが、施術者の能力や使用するキットの質により効果も大きく異なります。私どもは 豊富なPRP臨床症例とスポーツ診療部でのアスリートケアの経験から 国内でも今後普及すると考えられる
PRP療法のアスリートへの施術を2009年より臨床実験・研究をスタートしました(臨床実験・研究)。

慎重にその経過と効果、手技、注入量、注入部位、プロトコールを検討し、株式会社ベリタスのご協力により順天堂大学医学部 総合診療科 小林弘幸教授、順天堂大学医学部 整形外科の下、臨床研究を進めています。

すでに海外ではNBA、メジャーリーグで活躍するトップアスリート、オリンピック金メダリストらが
PRP療法を導入して故障のケアを行っています。タイガーウッズ選手もオフィシャルにPRP療法によるアキレス腱断裂の治療や靭帯損傷の治療を行っていることを公表しました。

当院では、国内で初めて
PRP療法を美容目的以外でアスリートのアキレス腱周囲炎の治療に行いました。

陸上男子110MH アテネ、北京五輪日本代表で元日本記録保持者の内藤真人選手が北京五輪以前からの強いアキレス腱痛に悩み アキレス腱への
PRP療法を受け劇的に痛みが改善し2010年の日本選手権大会の出場も可能となり5位入賞しました。ロンドンオリンピックへ向けチャレンジが続きます。今後も疼痛改善のみならずアキレス腱の根本的治療にもPRP療法を継続することを強く希望されています。

内藤選手からの紹介で 世界陸上男子400MHで2度の銅メダルを獲得した為末大選手も
PRP療法を故障したアキレス腱と膝蓋靭帯へ行いました。

4月11日の日刊スポーツで為末選手復活レースの記事が掲載され、この中で
PRP療法の治療を受けたことが紹介されました。

◇4月9日(日本時間10日)◇米カリフォルニア州クレアモント

 陸上男子400メートル障害で世界選手権2度銅メダルの為末大(32=a-meme)が、北京五輪以来となる2年8カ月ぶりのレース復帰を果たした。米カリフォルニア州のパノマ大が主催する記録会で、400メートル走に出場。タイムは48秒74と平凡ながら、ケガとの闘いを乗り越えての復帰。侍ハードラーが第一線に戻ってきた。

 走り終えた為末1 件の表情には、心地よい充実感がみなぎっていた。「こうやって競技場に来るのは北京以来。怖さみたいなものがスタートする時にあって。タイムはよくないが、レースして、ゴールできて、本当によかった」。

 北京五輪後は故障続き。特に左膝の痛みに悩み、昨年8月、
自らの血小板を患部に注射するPRP治療を受けた。もともと美容整形の技術であり、タイガー・ウッズらも受ける治療法に選手生命を委ねた。「今年だめだったら、もうダメだろうな」と引退が頭をよぎったが、ここ3カ月は完全に痛みが消えた。

 今後は日本に戻り、17日に金沢の記録会でいよいよ400メートル障害に挑む。記録次第で来月3日の静岡国際への出場が決まる。今季は8月の世界選手権での決勝進出が目標。その出場権を得るためには、参加標準記録(A標準49秒40、B標準49秒80)を破り、6月の日本選手権で上位進出が必要だ。大きな目標は、来年のロンドン五輪出場だ。「五輪の決勝を戦うのが夢。その夢を見られそうだというのが、今日でだいぶ感触を得られた」。侍ハードラー復活へ、米国の地から大きな1歩をしるした。
[2011年4月11日9時13分 日刊スポーツ紙面から]


ほかにも日本を代表するアスリートがこの治療を受けて疼痛の改善、可動域向上など効果を実感して競技に復活しています。

ドーピングにならない画期的な治療法としてますます国内で注目を集めることになると予想されます。

将来的には肉離れや骨折、捻挫、突き指・・・といった一般的な怪我にもPRP療法が普及するかもしれません。

火傷や皮膚外傷で大きな治療効果を期待でき、実際、当院でも難治性の3度熱傷への治療としてPRP療法を行い目覚ましい効果が見られた症例を経験しました。

ガングリオン、外科手術後の傷口のケアにも使用されるようになるでしょう。遠い医療と考えられていました再生医療ももうすぐ身近になります。

ご期待ください。


血小板が放出する成長因子ネットワーク

セル・エクササイズ




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