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2011年6月11日 土曜日

本当の傷のケア方法を知ってください。


今回は、格闘家であれば誰でも必ず経験する怪我、特に皮膚外傷に関します治療法や概念を解説させていただきたいと思います。格闘家の皆さんも今回、被害にあわれました被災者の皆さんも怪我を正しい処置で早く治していただき、できる限り傷跡を残らないようにしていただきたいと考えます。

特別な医療材料がなくても必要最低限の創傷理論と処置で創は治ります。被災地でも格闘イベント会場、道場などでは専用の医療材料はほとんどありません。

でも大丈夫です。このプロジェクトの初回にもお紹介させていただきましたが、今回はさらにわかりやすく実践できますようご紹介させていただきます。




新しい傷のケアの考え方
(あくまでも一般的な応急処置となります。重大な汚染創や、 多くの異物混入がある場合は除く。)


ここ数年で傷のケアに対する考え方や治療法が大きく変化を遂げました。これまでは、擦り傷でも切り傷でも、まず消毒して、清潔なガーゼを当てて早く瘡蓋を作る。そして毎日消毒して清潔なガーゼでしっかり傷を覆う、という処置を、なんの疑いもなく医師も医療従事者も保護者もスポーツ指導者も行ってきました。

しかし、これら従来の治療法は大きな誤りです。

従来の処置を繰り返せば繰り返すほど、傷の治りは悪くなり、痛みは増強し、汚い傷跡が残ります。20年以上、美容外科専門医として傷をいかにキレイに早く、痛みが少ない方法で治癒させるかの臨床的研究に取り組んできました。小外科手術を含め、数万症例の手術や傷のケアのなかで、臨床経験と創傷処置理論とがぴったりと一致しました。それは、痛みなく、早く、キレイに、しかも安価で簡単にできるケアです。子どもの傷、スポーツ選手の傷、すべてに適応できる新しい理論と処置法です。



 

傷の処置の重要事項
傷の処置で、特に重要な事項についてご紹介します。


【1】洗浄と止血

傷を負った直後に真っ先に行うべきケアが、止血と洗浄です。特に洗浄は、異物混入による感染のリスクを軽減するので入念に行うべきです。傷の奥深く異物が混入していたり、多量の泥や砂、ガラスが混入していたりする場合は、すみやかに専門医療機関へ送り、適切な処置を受けましょう。洗浄は清潔な生理食塩水でと医学書にも記載されていますが、これは全く根拠がなく、洗浄は水道水で十分です水道水はどこにでもあるものであり、早急にケアができるので、どんな場面でも対応が可能です。

しかし、地震直後の被災現場では医療材料はありません。医療機関への搬送も困難な場合もあるでしょう。この場合は、とにかく傷を洗い流し少しでも異物を少なくしてください。泥や砂、木材の破片など異物が必ず感染を起こす原因になります。止血はどんな場合もひもやゴムなどで縛ってはいけません。逆に出血させやすくします。特に動脈が切れている場合は吹き出るような血液に驚かれることでしょう。ただちに圧迫して止血してください。圧迫が止血の最善の治療法です。

家庭でも手軽に行える傷のケアの材料、白色ワセリン、サランラップ、ビニール手袋、ビタミンC誘導体ジェル
家庭でも手軽に行える傷のケアの材料、白色ワセリン、サランラップ、ビニール手袋、ビタミンC誘導体ジェル

 


【2】消毒

消毒薬ポビドン・ヨード(商品名イソジン、ネオヨジンなど)のうち、イソジンが一般的なスポーツや医療現場で消毒薬として頻繁に使用されているようです。しかし、イソジンの殺菌作用はヨウ素の酸化力により、その殺菌力は細菌にだけ有効なのではなく、生体細胞まで有害に作用し、傷を治癒させるために必要な細胞も殺しますイソジンンの細胞毒性はすでに各論文で明確になっていて、細菌と何かの有機物とが共存していれば、イソジンの殺菌力は低下します。化膿している傷は有機物だらけですので、膿だらけの傷・出血している傷では、その殺菌力はかなり低下して、細胞毒性だけは残存しています。となると、傷を消毒するという行為は、殺菌のためではなく、傷を感染させやすい状態をつくり、傷の治りを悪くする行為になります。消毒ではなく傷毒なのです。マキロン、キズドライ、オキシフルなどの消毒薬も同様です。

傷口は水道水でよく洗浄して異物を洗い流す
傷口は水道水でよく洗浄して異物を洗い流す

医療現場では、クロルヘキシジン(ヒビテン、マスキン)はアナフィラキシーショックで多数の死亡事例も報告されています。傷の治りを悪くするだけでなく、大きなリスクの危険もあり、痛みも増強する消毒は、特別な場合を除いては行うべきではありません。一刻も早く傷を治したい状況で、傷の消毒は百害あって一利なしです。
私の20年以上の臨床経験では、傷を消毒しなくて感染症が発症したり、傷の治癒が遷延したりした事例は皆無です。また、ガーゼを毎日張り替え、傷を消毒して治癒が遅れ、競技に支障を来したアスリートの事例を、数多く診てきました。スポーツの世界では、傷への消毒はアスリートの選手生命を脅かすこともあります。

「消毒しないで破傷風になったらどうするんだ!」とういご意見もあります。また、屋外で傷を負う機会が多いスポーツ選手たちにとってとても心配ですね。しかし、消毒は破傷風予防の第一選択ではありません。


<破傷風に関しまして>
消毒で破傷風菌が殺菌できるのでしょうか?
破傷風菌は通常「芽胞」の形態で地中に存在し、「芽胞」は生半可なことでは死にません。沸騰している水中で15分以上加熱を続けても、まだ芽胞は死滅しません。 普通に使われている消毒薬では芽胞は死にません。従って、土が入り込んだ傷だからといって、それを少し消毒しても破傷風の予防には無効なのです。


消毒とは何か?

消毒薬は無害でも安全でもない

■クロルヘキシジン(ヒビテン ,ヘキザック)でアナフィラキシーショックから呼吸停止が起きている。
■家庭消毒用クロルヘキシジン(マキロン )の誤飲で死亡事故が起きている。死亡率が高い。
■ポビドンヨード(イソジン)は接触性皮膚炎を起こす率が高い。


つまり格闘技での傷、被災地での傷、いずれも消毒は不要です。
消毒薬はいりませんのでご安心ください。


 


 


【3】ガーゼ

傷に直接ガーゼを当てたらどうなりますか? ガーゼを傷に当てることで感染が防げたり、傷が早く治ったり、痛みが少なくなることはありません。滲出液のコントロールと一時的な止血ができるだけです。傷にくっついたガーゼをはがすとき、出血を起こしせっかく治るための細胞が集まってきた場を、乱暴にもむしり取ることになります。ガーゼを当てると血液がガーゼに吸収され、傷が乾燥してせっかく傷を治すために現れた細胞を死滅させます。ですから、傷にガーゼを直接張るという行為は特別な場合を除いては行ってはいけません。ガーゼは創面の破壊材料です。傷の保護という目的であれば、食品用ラップを傷に直接当てその上からガーゼを当てるケアが、最も単純で短時間で可能です。傷にはそもそも周りの皮膚から常在菌が入ってくるのですから、清潔なガーゼを当てるという行為も医学的根拠がありません。

サランラップを傷の大きさより少し大きめに切り取る
サランラップを傷の大きさより少し大きめに切り取る

ワセリンがあればワセリンを創に塗ってもよい
ワセリンがあればワセリンを創に塗ってもよい

ワセリンを塗った傷口にサランラップを貼ります
ワセリンを塗った傷口にサランラップを貼ります

1870年頃、細菌は乾燥状態では増殖しないことがわかりました。それなら、傷表面を乾かせば細菌が増えず、感染しなくなるのでは?と考えた19世紀の医者がいた。それだけが、ガーゼを用いる根拠です。
 

ガーゼを張る医者は、何の根拠があるのか?

 



 

【4】湿潤ケア

傷は乾燥させないことが最も大切なケアの1つです。これは縫合創でも同じです。以前は、早く乾かして瘡蓋を作らせることが傷ケアのゴールドスタンダードとされていましたが、傷の乾燥は確実に創傷治癒を遅らせます。医療機関へ行くほどではないと考えられている傷も、ケア次第では感染が起こったり、強い痛みで競技が継続できなくなったり、いつまでも傷が治癒しなくて精神的ストレスを感じたり、あるいはやっと治ったと思ったら醜い傷跡で悩むこともあります。

キズ○ライという傷を乾燥させる消毒薬が販売されていますが、この薬によって確実に傷は悪化しますので絶対に使用するべきではありません。子供を虐待するような危険な市販消毒薬です。

 
傷口にイソジンでの消毒は絶対に厳禁
傷口にイソジンでの消毒は絶対に厳禁

傷口に直接ガーゼを貼る行為は厳禁
傷口に直接ガーゼを貼る行為は厳禁
 

 



 

【5】入浴

入浴により治癒が遅れることはありません。美容外科医としてこれまで多くの外科手術を行ってきましたが、患者を入浴制限させていたときより、翌日から入浴し創面を軽く洗浄するほうが、はるかに創面の治癒期間が短縮され、キレイに治るようになります。止血していれば、翌日からの入浴、シャワーは可能。頭部の外傷でも、傷を直接刺激しないようにすれば、翌日からシャンプーでの洗髪も可能です。怖がって創面を洗わないとかえって不潔になり、汚物がたまって感染源にもなりうるのです。

 


 


【6】クリーム

クリームの成分には界面活性剤が含まれています。クリームは水と油が溶け合ったものです。クリームを洗い落とすとなぜか皮膚はゴワゴワ、シワシワになります。これはクリームに含まれる界面活性剤が皮膚の油を分解してしまったためです。皮膚の油(皮脂)は人間を感染から守ってくれている皮膚常在菌の生存になくてはならない栄養源です。それを洗い落とすのはとんでもないことです。

クリームに含まれる界面活性剤の疎水基は
細胞膜の蛋白質に結合し、細胞膜を破壊します。皮膚科の教科書に「クリーム製剤は健常の皮膚にのみ用いること」と明記されているのは、健常の皮膚は角化層で守られているからクリームを塗っても大丈夫だよ、という意味です。逆に言えば、角化層が正常でない皮膚(傷ついている皮膚、乾燥肌、アトピーの創部など)にクリームを塗ると、そこに含まれる界面活性剤が直接、傷口に襲い掛かかります。

クリームとは?


 



 

【7】ワセリン

ワセリンは、ペトロラタムともいいます。 色によって黄色ワセリンと白色ワセリンがあり、白色ワセリンのほうが純度が高いとされています。 日本薬局方において白色ワセリンは「石油から得た炭化水素類の混合物を脱色して精製したもの」と定義されています。 軟膏剤のような医薬品の基剤や、化粧クリームのような化粧品などの基剤として用いられます。 また潤滑剤や皮膚の保湿保護剤としても用いられます。

傷のケアに使用するワセリンは不純物のより少ない白色ワセリンを使用します。

傷口に直接ラップを貼ってもよいのですが、ワセリンで湿潤させても傷の保護にはメリットがあるようです。


医療用の創傷被覆材
医療用の創傷被覆材

医療機関ではカラヤヘッシブなど医療用材料を傷口に当てて湿潤状態を保たせてケアする
医療機関ではカラヤヘッシブなど医療用材料を傷口に当てて湿潤状態を保たせてケアする

 


 

まとめ

少し乱暴かも知れませんが、医療機関が近くにない場合、擦り傷など皮膚外傷を負ってしまった場合は、消毒もガーゼもオロ○ナインも医師も不要です。

傷口をしっかり水道水(どうしても水道水も近くにない場合は川の水でも可能)で創に入り込んだ砂や泥など異物を徹底的に洗い流す、その上から創が乾かないようにサランラップを貼る。原則としまして 創を消毒したりガーゼを貼るよりもよほど痛みも少なく治りも早いということです。

是非、この創の理論と処置を覚えておいていざとなったら実践してくださいね。

下記のHPをご参考にしてください。(正しい創傷治療の専門医 夏井睦先生のHPもご紹介させていただきます。)


http://www.sakae-clinic.com/wound/

http://www.wound-treatment.jp/
 




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