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2010年11月16日 火曜日

早く、キレイ、痛みなく治す 新しい創傷治療


医学や科学の進歩同様、格闘家のケアやトレーニング法も大きく進歩しています。

是非、この誌面で最先端の情報をお伝えして読者の皆様のご健康とさらなる飛躍をお祈り申し上げます。


まずは第1回目は、医学の常識が未だスポーツ界で非常識になっている傷のケアに関してご紹介します。
この特集は、必ず読者の皆様、ご友人、ご家族の大きな感動と新たな発見を生み出すことでしょう。


ここ数年で傷のケアに対する考え方や治療法が大きく変化を遂げました。
これまでは、擦り傷でも切り傷でもまず消毒して清潔なガーゼを当てて早く瘡蓋を作る。そして毎日消毒して清潔なガーゼでしっかり傷を覆う。という処置を何の疑いもなく医師も医療従事者も保護者もスポーツ指導者も行ってきました。
しかし、これら従来の治療法は大きな誤りであり 従来の処置を繰り返せば繰り返すほど傷の治りは悪くなり痛みは増強し汚い傷跡が残ります。


つまり、これまでの傷のケアは180度 間違っていたわけです。


20年以上、美容外科専門医として傷をいかにキレイに早く、痛みが少ない方法で治癒させるかを臨床的研究に取り組んできました。
小外科手術を含め数万症例の手術や傷のケアの中で臨床経験と創傷処置理論がぴったりと一致しました。


痛みなく、早く、キレイにしかも 安価で簡単にできるケアです。


最新の傷のケアの考え方、手技を紹介させていただきます。


子供の傷、スポーツ選手の傷、すべてに適応できる正しい理論と処置法です。
格闘家にも子供にも傷はつきものですね。
傷のケアが今後の格闘家としての選手生命を左右することもあるのです。
たかが傷、されど傷です。
私自身、小学校、大学と空手を鍛錬しておりましたが、絶えず傷が身体のどこかにあったことを思い出します。
昔は、傷には消毒、オ○ナ○ン軟膏、ガーゼ、入浴制限でしたね。
もちろん今もこの習慣は残っているのではないでしょうか。
でも、私の脳裏には傷へ消毒されてとても痛くて嫌な思いをした記憶しか残っていません。
しかも消毒したりガーゼを剥すたびに傷がなかなか良くなってくれない思いがありました。
オ○ナ○ン塗っても一向に傷はよくなりません。
最近では、キ○ド○イという有害商品で確実に傷が悪化するケースが目立ってきました。
入浴制限も夏は辛かったですね。
垢が周りについて。
早く瘡蓋が張ってくれないかと祈る毎日でした。


なぜか、アロエを付けておくと早く治って痛みがなかった思い出があります。
傷を乾燥させない状態にしていたのですね。


昔は赤チンと呼ばれる消毒薬、オキシフル、バンドエイドもガーゼもオロナインも誰もが経験したことですね。


病院へ行っても痛いことをされるから薬局の薬で自分でケアしていることがほとんどでした。


さてさて、医学が進歩した現在では、従来の傷へのケアは全てといってよいほど誤りであり、これまで行われていた 消毒、ガーゼ、入浴制限は、傷を早く治し感染を抑制するどころか、強い痛みを引き起こし、傷の治りを悪くして感染までも引き起こしやすくするとんでもない 誤った治療法だったことが分かってきました。


1. 傷(裂傷,挫傷,縫合創,熱傷など)は必ず消毒する。消毒しなければいけない。
2. 傷は消毒しないと化膿する。傷が化膿しないように消毒している。
3. 傷が化膿したので消毒。
4. 傷にはガーゼ。
5. 傷は濡らしてはいけない。縫った傷は濡らしてはいけない。 入浴制限。
6. 瘡蓋ができたら傷が治る。 瘡蓋を早く作るように傷を乾燥させる。


 皆さんはこの内容に疑いはありませんか?

実はこの1-6までの行為全てが誤りなのです。


  


では、正しい傷へのケアは


1. 傷は消毒してはいけない。消毒は,傷の治癒を遅らせる。
2. 消毒しても傷の化膿は防げない。
3. 化膿した傷を消毒しても,治療効果は全くない。
4. 傷(特に皮膚欠損創)にガーゼをあてるのは,創治癒を遅らせる行為。
5. 傷はどんどん洗ったほうが良い。傷の化膿の予防のためにも,治癒を促進させるためにも最も効果あり。縫合した傷も洗ってよい。 つまり、入浴制限は受傷直後を除いて不要。
6. 瘡蓋は傷が治らないときにできる。瘡蓋はできる限り作らないようにする。 傷を乾燥させてはいけない。


以上が傷のケア、治療法として正しい行為です。
本当でしょうか?
本当です。
ご安心ください。
おそらく私が、日本一 格闘家の傷を丁寧に治療している医師の一人でしょう。
といっても特別な治療をしているわけではないのです。


消毒しない、ガーゼを直接当てない、入浴制限しない、瘡蓋を作らせないように指導しケアする。が基本なのです。
私がこれまで、この方針で美容外科手術後の縫合創のケア、多くの格闘家やアスリートの傷のケアを行ってきて感染したケースもゼロですし、醜い傷跡が残ったり傷の治癒が遷延したケースも一切ありません。
むしろ、消毒したり傷へガーゼを直接当てないため 痛みの苦痛から解放され すぐにアスリートとしての活動に復帰できるのです。
これまでの傷のケアの呪縛からすぐにも逃れ 正しい傷のケアを多くのアスリートや指導者が行えば、もう傷なんか怖くない。と言えるかもしれません。


傷は我慢するものでもなく、痛くてあたりまえ、傷跡が残ることがあたりまえでもありません。
傷の正しいケアを知れば格闘家として大きな武器を得たことと同じなのです。
傷は乾かしていけません。
乾燥させると真皮はすぐに死んでしまうのです。
同時に・・・「真皮の中にある表皮」である毛穴も汗管も死んでしまいます。
死んだものはもう生き返りません。
 ということは,表皮欠損創(擦り傷や熱傷)を乾燥させると傷は治らなくなります。当然の話ですね。つまり,「傷を乾かすと傷は治らない」のです。
 ここで「傷(表皮欠損創)にガーゼをあてる」という行為を考えてみます。ガーゼ(あるいは家庭用の「キズ・バンソウコウ」も同じ)を傷にあてた場合,ガーゼに傷口の水分が吸収されてしまいます。つまり,傷は乾き放題。
 ・・・ということは,皮膚欠損創をガーゼで覆うと,傷(つまり真皮)が乾き,創治癒(つまり表皮遊離による創治癒)はストップしてしまいます。
 「傷にガーゼをあてる」ことは,少なくとも表皮欠損創においては創治癒を妨害するリスクある行為であり絶対に行うべきではないですね。
もちろん、止血や一時的な被覆にはガーゼを当てる行為は必要です。
私がここで強調したいことは、傷を早くキレイに治すためには絶対にガーゼを傷口へ直接当てて傷を乾燥させてはいけないということです。
考えてみてください。
傷へガーゼがしっかりくっついて剥すときの痛み。
格闘家だからこの痛みに稽古同様、平気で耐えられるのでしょうか。
これでは、傷の正しいケアをしっかりとまとめてみましょう。

 


 

正しい傷の処置

傷の処置には特別な医療用材料も使用しなくても必要十分な対応が可能です。


1:傷には絶対に消毒しない。(いかなる消毒薬も使用しない)


2:傷には絶対、直接ガーゼを当てない。(被覆材の上からはOK)


3:傷はすぐに水道水で洗う。(出来る限り異物を除去)


4:絆創膏の使用は閉鎖性のもののみとする。(傷を乾燥させない)


5:傷は食品用ラップで覆う(ワセリンを塗ってもよい)か医療用被覆材(最近は薬局でも購入可能。)ですぐに覆う(この上からガーゼや保護材を覆うことはよい)。


6:傷の処置の準備としてビタミンC誘導体ジェルを塗布。(市販のドクターズコスメで燐酸アスコルビン酸Naが含まれているもの)
ビタミンC誘導体には線維芽細胞の働きを高め傷の治癒を促進し色素沈着を抑制する効果があり驚くほどの治療効果が得られる場合もあります。


7:出血は単純に圧迫。


8:刺創、深い切創、異物が混入したり組織の大きな挫滅があるようであれば速やかに専門医療機関を受診する。


9:傷にクリームは絶対使用しない。(オ○ナ○ン軟膏は基材がクリームのため傷には塗ってはいけない)
クリームは界面活性剤であり細胞障害性があるため絶対に傷に塗ってはいけない。


10:原則として翌日からシャワー、入浴を許可。創面を濡らしても問題ない。


他人の傷を処置するときは必ず感染防止のためディスポーザブルの手袋(清潔なものでなくてよい)をはめて行うようにします。
素手で他人の傷のケアを行ってはいけません。


少し違和感を覚える方もいるようですが、医学的に正しい傷のケアです。
最近では創傷メカニズムの研究も進み創傷治癒理論に基づいた適切な創傷被覆材を使用すれば、飛躍的に創傷の治癒期間が短縮されます。
MOIST WOUND HEALING という考え方で数多くの被覆材が開発されています。
医療機関では
・デブリドマンによる壊死組織の軽減と創底の血流改善
・感染制御
を目標に創傷のケアを行いますが、急性期と慢性期の創傷では若干ケアの方法が異なります。
スポーツ外傷では急性期のケアが主となりますので急性期のケアを中心に解説させていただきます。


まず、その前に簡単に傷の治癒する仕組みを解説しましょう。
浅い皮膚欠損創は露出した真皮に表皮細胞が覆うことで傷は治癒します。
この時、表皮細胞は毛孔から移動・分裂して露出した真皮を覆います。また周囲の表皮細胞からの移動・分裂もあり毛孔が残存している浅い傷は、適切なケアを行えば数日で完全に治癒するケースがほとんどです。
深い皮膚欠損創(皮下脂肪組織や筋肉、骨に到達するもの)では肉芽組織が出現して周囲の表皮細胞の移動・分裂が起こります。肉芽組織は収縮する性質があり欠損創が少しづつ収縮して創が閉鎖されていきます。


縫合創では


1:創部の血小板が活性化され凝集して止血が起こる
2:白血球(好中球)が組織内へ浸潤
3:マクロファージが組織内へ浸潤
4:表皮細胞が創面を覆う
5:線維芽細胞がコラーゲンを産生
6:毛細血管が増殖


創面には血小板をはじめ多くの細胞が集まってきて細胞成長因子を分泌して傷を治そうとします。
創面がジュクジュクしているのは化膿しているのではなく正常な創の治癒過程です。
創面を閉鎖して湿潤環境を保てば、細胞成長因子がどんどん出現して短期間での治癒が可能です。


創面では細胞培養と全く同じ現象が起こっています。

培地は傷表面、培養液は滲出液。
培養には必ず培養液が必要。
培養液がないと細胞は死滅。


つまり創面は決して乾かしてはいけません。
ガーゼを直接創面へ当ててはいけないのです。


創の処置で特に重要な事項についてご紹介します。


1:洗浄
 傷を負った直後に真っ先に行うべきケアが止血と洗浄です。
特に洗浄は異物混入による感染のリスクを軽減するので入念に行うべきです。
傷の奥深く異物が混入していたり多量の泥や砂、ガラスが混入している場合は速やかに専門医療機関へ送り適切なデブリードマン、ブラッシングなどの処置を受けるべきです。この場合は麻酔が必要なことが多いでしょう。
洗浄は清潔な生理食塩水ではなく、水道水で十分です。
水道水はどこにでもあるものであり早急にケアができるのでどんな場面でも対応可能ですね。


2:消毒
 消毒薬ポビドン・ヨード(商品名イソジン)が一般的なスポーツや医療現場で消毒薬として頻繁に使用されています。
 しかし、イソジンの殺菌作用はヨウ素の酸化力により、その殺菌力は細菌にだけ有効なのではなく,生体細胞全般に分け隔てなく作用し傷を治癒させるために必要な細胞も殺します。

イソジンンの細胞毒性はすでに各論文で明確になっています。
 細菌と何かの有機物が共存していれば,イソジンの殺菌力は低下します。
化膿している傷は有機物だらけですので膿だらけの傷,出血している傷ではイソジンの殺菌力はかなり低下して添加物による細胞毒性は残存しています。
となると,傷を消毒すると言う行為は,殺菌のためではなく傷を感染させやすい状態を作り傷の治りを悪くする行為になります。

消毒ではなく傷毒です。
 マキロン、キズドライ、オキシフルなどの消毒薬も同様です。
医療現場ではクロルヘキシジン(ヒビテン)はアナフィラキシーショックで死亡事例も報告されています。

今沢 隆ら:グルコン酸クロルヘキシジン使用後にアナフィラキシーショックを起こした1症例. 日形会誌, 23; 582-588, 2003

傷の治りを悪くするだけでなく大きなリスクの可能性もあり、痛みも増強する消毒は絶対に行ってはいけません。
一刻も早く傷を治して競技に復帰したいアスリートにとって傷の消毒は百害あって一利無し。

私の20年以上の臨床経験で傷を消毒しなくて感染症が発症したり傷の治癒が遷延した事例は皆無です。
毎日、ガーゼの張り替え、傷を消毒して治癒が遅れ競技に支障をきたしたアスリートの事例を数多く診てきました。アスリートの選手生命を脅かす行為です。


3:ガーゼ
傷に直接ガーゼを当てたら?
 ガーゼを傷に当てることで感染が防げたり、傷が早く治ったり、痛みが軽減することはありません。

唯一、効果があるとすれば一時的な止血ができるだけです。
傷にくっついたガーゼをはがすとき出血を起こしせっかく治るための細胞が集まってきた場を乱暴にもむしり取ることになります。
ガーゼを当てると血液がガーゼに吸収され、傷が乾燥してせっかく傷を治すために現れた細胞を死滅させます。
ですから傷へ創面の破壊材料であるガーゼを直接貼るという行為は絶対に行ってはいけません。


傷の保護という目的であれば食品用サランラップを傷に直接当てその上からガーゼを当てるケアが最も単純で短時間で可能です。
傷にはそもそも周りの皮膚から常在菌が入ってくるのですから清潔なガーゼを当てる必要もありません。


4:湿潤ケア
傷は乾燥させないことが最も大切なケアです。
これは縫合創でも同じです。
以前は、早く乾かして瘡蓋を作らせることが傷ケアのゴールドスタンダードのように言われていましたが、傷の乾燥は確実に創傷治癒を遅らせます。
医療機関へ行くほどでないと考えられている傷もケア次第では感染が起こったり、強い痛みで競技が継続できなくなったり、いつまでも傷が治癒しなくて精神的にもストレスを感じたり、やっと治ったと思ったら醜い傷跡で悩むこともあります。


5:入浴
入浴により治癒が遅れることはありません。
美容外科医としてこれまで多くの外科手術を行ってきましたが患者様を入浴制限させていた時より翌日から入浴させ創面を軽く洗浄するように指示してからの方がはるかに創面の治癒期間が短縮されキレイに治るようになりました。
出血が止まっていれば翌日からの入浴、シャワーは可能です。
頭部の外傷でも翌日から傷を直接刺激しないようにシャンプーによる洗髪も可能です。
怖がって創面を洗わないとかえって不潔になり汚物が溜まって感染源にもなりうるのです。

 


それではもう一度、わかりやすく まとめてみましょう。


1:傷への消毒は行わない。


2:傷へガーゼを直接当てない。


3:オロナインなどのクリーム基材の薬剤を傷へ直接使用しない。


4:入浴は受傷、24時間後から可能であり、傷は水に濡らさないようにするのではなくむしろ軽く洗浄することを心がけること。


5:瘡蓋をできる限り作らないように 湿潤環境が作れる被覆材で覆うか、白色ワセリンを塗布してラップで傷を覆う。


しかし、出血が止まらなかったり、深い傷、異物混入が認められる傷などは速やかに医療機関を受診してデブリードマンや抗生剤の投与など適切な医学的処置を受けるべきです。


スポーツ選手だからキレイに治す必要はないと考えている指導者はいませんか?
傷がキレイに治ることは、早く、痛みが少なく治ることです。
ですからスポーツ選手の傷はキレイに治すべきで、傷はスポーツ競技の勲章などと考えてはいけません。
正しい、ケアの方法を知って適切に処置すれば


1:極めて少ない痛み
2:短期間で傷が消失
3:キレイな傷痕


として傷が治ります。
まず、競技現場で簡単に処置できる傷のケアをご紹介しましょう。


1) 水道水で傷をよく洗浄する。この際、絶対に消毒しない。(他人の傷の処  置をする時は必ずディスポの手袋をご使用ください)


2) 出血があれば圧迫して止血。この時、ガーゼによる一時的止血での使用はよい。


 3) 準備ができていれば ハイドロコロイドドレッシング材(市販ではバンドエイドキズパワーパッド)で覆う。食品用ラップを当てその上からガーゼで保護してテープ固定してもよい。この場合、白色ワセリンが準備してあればワセリンを傷に塗ってその上からラップで覆うとよいでしょう。
     


4) 翌日、傷の状態を確認しラップを張り替える。(ジュクジュクしていても決して傷を乾燥させてはいけません。)


医療用の創傷被覆材と同じものが薬局で市販されていますので、必ず準備しておくとよいでしょう。


次号では具体的な症例や具体的な被覆材、医学的処置などを解説したいと思います。
プロボクシングトレーナーであり総合格闘技やキックボクシングのリングドクターも務めさせていただいております私の実経験をもとに皆さんが知りたい 情報をたっぷり提供させていただきますのでご期待下さいね。



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