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2010年11月16日 火曜日

スポーツケアとしての鍼灸とは?

フルコンタクトKARATE 12月号では、スポーツケアとしてのマッサージについて紹介させていただきました。続いて今回は、スポーツケアとしての鍼灸を紹介します。

マッサージについての紹介では出来るだけ解りやすくなるよう心がけておりましたが、鍼灸となるとなんとなく難しく、中国4000年の歴史などなど・・・、マッサージ以上に奥が深く解りにくく、さらに身体に鍼を刺すなんてとても痛そうで、おっかなくて・・・なんとなく敬遠してしまう。というような意見をよく聞きます。みなさんも「鍼灸」と聞くと、痛いのでは?熱いのでは?など、あまり良いイメージをお持ちでは無い方が多いのではと思いますが、

実は、鍼は痛く無いのです。また、お灸も熱いことはありません。お爺ちゃんやお婆ちゃんの背中のお灸の痕を見た経験がある方もいらっしゃると思いますが、旧来の施灸方法(お灸のやり方)では、実際に熱く皮膚に1cm弱の火傷ができるほどの施術もありました。しかし現在は、インフォームドコンセント(治療法や結果などを十分に説明を受けた上での合意)やおもてなしの時代です。火傷の痕が残るようなお灸を据えたら訴訟問題にもなります。以前の様な熱いやり方のお灸は殆ど無く、ほんわかと温かく気持ちが良い感じのお灸が一般的です。

こんな鍼灸のいろいろについて、大まかに理解できるとスポーツケアとしての鍼灸がみえて来ますので、なるべく簡単に紹介したいと思います。

まず始めに鍼灸とは、鍼治療と灸治療を併せた表現方法で、厳密には鍼師、灸師という2種類の国家資格に区別される2つの治療方法を指す言葉です。
今まで多くの場合に、鍼治療と灸治療を併用して一つの治療として行うことが多く一般的に合わせて表現されることが多かったようです。

では鍼治療とは?
専用の鍼(0.1~0.3mmの物が多い)を身体に直接刺したり接触させて刺激を行う方法で、深さとして1mm弱から15cm前後の鍼を身体に刺入して反応による改善を目的にした方法です。
また、灸治療は?
皮膚の上でもぐさを燃やして温熱効果による改善を図る治療法です。もぐさの大きさは、糸と同じぐらいの細かいものから、米粒の半分、米粒ほど、などがあり、直接皮膚に置く物と、台座の上に置くものとに分けられます。最近では、直接置くのは火傷の原因になってしまうために台座の上に置くスタイル(せんねん灸)が多く普及しています。燃焼温度は50℃前後~80℃ぐらいが主流です。

基本的に鍼・灸は、2500~3000年前から継続される治療経験から生まれた伝統療法(経験療法)であり今も尚施術者独自の治療法が生み出され続けている貴重で有効な治療方法で、道具に関しても上記以外のものも存在するのが事実です。
世界的な鍼灸治療の始まりはとても古く3000年以上の歴史があり、日本における鍼灸治療は飛鳥時代(約1500年前)や奈良時代(約1300年前)から発展したとの記録が残されています。

現在、鍼灸治療は民間医療に属し、西洋医学ではなく東洋医学に分類されています。西洋医学とは、医師の診察によって病気が診断され、薬や手術を用いて病気そのものを改善する治療法に対して、東洋医学は人間本来の自然治癒力や免疫力によって身体全体を改善する治療法で、予防医学や代替医療とも言われている。日本における治療費の面では、一般的に健康保険が適応される西洋医学に対して、鍼灸治療は健康保険が効かないと思われがちですが、1神経痛、2リウマチ、3頚腕症候群、4五十肩、5腰痛症、6頸椎捻挫後遺症の症状のみ、医師の同意書に基づいて保険での治療が可能な状況で、その他の症状は保険適応外の実費診療で行われています。

現在日本で使われている鍼の種類は、大きく分けて2通り、日本鍼と中国鍼があります。日本鍼は、細く短く先端も刺入し易く加工されて、極力痛くない刺激で施術出来るよう作られているのに対して、中国鍼は、太く長く大きな刺激を与える目的で作られています。殆どの鍼灸師が感染予防の目的から使い捨ての日本鍼を使用するようになってきています。

次に、鍼灸にはどの様な効果があるのでしょうか?

整形外科系疾患・・・肩こり、腰痛、捻挫など
神経系系疾患・・・頭痛、神経痛、自律神経失調症など
循環器系疾患・・・高血圧症、不整脈、狭心症など
呼吸器系疾患・・・風邪、せき、気管支喘息など
消化器系疾患・・・胃下垂、胃炎、食欲不振など
皮膚科系疾患・・・じんま疹、ヘルペスなど
産婦人科系疾患・・・生理痛、不妊症、逆子など
内分泌系疾患・・・肥満症、糖尿病など
泌尿器系疾患・・・尿失禁、前立腺炎など
眼科系疾患・・・眼精疲労、白内障など
小児科系疾患・・・夜泣き、おたふくかぜ、小児喘息など
耳鼻咽喉科系疾患・・・耳鳴り、口内炎、咽頭炎など


上記はほんの一握りで、現在では、その他、多くの症状に有効であると認められております。

実際に麻酔の代わりに鍼(鍼麻酔)をして身体にメスを入れる方法が行われていたり(その場合は薬剤による全身麻酔ではないので手術中に患者さん自信も会話をする事が出来るそうです)、癌の治療に鍼が使われたり、一瞬にして人を気絶させてしまう先生もいらっしゃると聞いています。治療を受ける場合は、それぞれのスタイルがあり得手・不得手があることを理解して施術を受けていただく事をお奨めいたします。

では、なぜこのような沢山の効果が期待できるのか?

調整作用・・・組織・器官に一定の刺激を与えてその機能を調整する作用があり、鎮静作用と興奮作用がある。

誘導作用・・・治療したその部の血管に影響を及ぼし充血を起こし患部・健部の血流を調整する作用がある。

反射作用・・・生体の有する反射機転を介して各機能を亢進あるいは抑制する作用がある。

消炎・防衛作用・・・白血球は増加し、リンパ系は賦活され免疫力が高まり炎症は静まる。又、抵抗力も増加。

変調作用・・・自律神経の調整やアレルギー体質を改善して体質を強壮にする作用がある。


このように、人間が本来持っているあらゆる機能を呼び覚ます効果があります。

また、鍼灸の概要として忘れてはならないのが経穴「ツボ」ではないでしょうか
一般的に鍼灸といえば「ツボ」治療との連想が沸く方も多いと思います。学生時代はこのツボを覚えるのに替え歌を使ったりお風呂に潜って酸欠になりながら必死に暗記したり(先輩から伝授された方法で、医学的根拠は不明?)と、とても苦労した記憶があります。実際に、鍼灸の治療部位や箇所は決まっていると思われがちですが、厳密には決まっていません。というか、その人その人のそのときの症状に併せて取穴(ツボを決める)して進めていく治療法なので、同じ頭痛でも必ず同じツボを使って治療するとは限らないし、同じ症状でも次回も同じツボに治療をするとも限りません。

次に、ツボの数はどれだけあるの?という質問を良く受けます。その、ツボの数ですが、WHO(世界保険機構)では全身で361穴のツボがあると認定されており、全部で14の経絡(電車でいう線路)に分かれています。人の身体に何らかの症状(病気)が起こるとこの経絡上に反応点として経穴の異常ををきたした部位が現れます。この反応を見つけて経穴を特定して必要な治療を行うことが鍼灸治療の方法です。なので、腰が痛くても足先のツボに鍼やお灸をしたり、肩が痛くても背中にお灸をしたりと全身いろいろな部位を使って最良と考えられる経穴を選択します。さらに以前には、鍼灸師より位が高い将軍の姫君などを治療しないといけないときに、裸にして治療するわけにもいかず、膝下・肘下のみのツボを使って全身の治療が出来るように考えられたツボ(要穴)なども発達した治療法です。
さらに治療の回数ですが、鍼灸ともに毎日続けて治療しても大丈夫で、治療頻度はあまり気にする必要はありません。もちろん1度に必要以上の治療は鍼灸師自体が行いませんので、症状や状態の変化に併せて治療回数などを決めていけば良いと思います。大まかに判断するとすれば、急性症状は短期間の間に続けて行うことが望ましく、慢性症状は、1週間に1~2回ぐらいを継続して行うことが良く、体質改善などは半年から1年以上の継続が大きな効果となって現れてきます。その症状に合わせて判断されることをお奨めします。

では、やっと本題になりますが、スポーツケアとしての鍼灸を説明したいと思います。一言で言えば、おおよそあらゆるスポーツ障害やコンディショニング、疲労回復、パフォーマンスアップに鍼灸治療は適しており治療の仕方も選手それぞれに合った最良の方法で行われていきます。そのため、この紙面をもって大きくスポーツケアとしての鍼灸治療は○○と紹介することは誤解を招くおそれがあると判断しました。ただ、ひとつ問題とするならば、これはスポーツケアにおけるマッサージ(フルコンタクトKARATE12月号)でもお伝えしておりますが、鍼灸師のなかでもスポーツを知って、選手の身体を知って、トレーニングを知って、施術出来る鍼灸師は限られています。本人がスポーツに携わっていたとか、スポーツが好きで一生懸命勉強したとか、スポーツ選手のケアをしたことがあるなど、スポーツに携わったことがある治療院や施術者の治療を受けることこそが、スポーツケアとしての鍼灸では一番大切なことだと思います。さらに、ここで大切なことが東洋医学の考え方で、一つの症状に対して決定された治療法がないとの理解から、その状態を把握して最適な治療を行います。したがって、上記に挙げたスポーツに関係している鍼灸師だけでなく、東洋医学及び鍼灸をしっかり捉えてその状態を判断できる鍼灸師であれば、スポーツ自体を知らなくても身体としてのコンディショニングや治療、疲労回復やパフォーマンスアップなど、スポーツに必要な施術ができると思います。

本題がとても短く恐縮ですが、大筋を解っていただくことがスポーツケアにおける鍼灸の総論となるためこのように紹介をさせていただきました。
スポーツケアにおける鍼灸をまとめてみますと、

① 鍼灸治療はスポーツにおける不特定多数の症状や期待に応えることが充分可能な治療法です。

② 特にスポーツに関わりのある鍼灸院及び、施術者の治療を受けることが肝心です。

③ また、スポーツに関わりが無くても、東洋医学の視点からしっかり症状や状態を判断(診断・弁証)できる鍼灸師であればアスリートのケアを任せても大丈夫です。

④ アスリートケアの経験ある信頼できる施術者にご相談されることをお奨めいたします。

最後になりましたが、トレーニングにより最高のパフォーマンスを発揮するためにはクオリティーの高いトレーニングをやり続けるだけでなく、トレーニングで傷ついた身体をいたわり、休養・栄養を確実に行う事が何よりも大切です。それぞれ地元で身近に身体のことを相談できる所をぜひ見つけてください。また、困ったことなどありましたらいつでもご相談ください。

 

  


柴田康博トレーナー プロフィール

■株式会社 メディカルケア 代表取締役
■『まごのて』スポーツマッサージ・鍼灸接骨院 院長
■(財)JOC日本オリンピック委員会強化スタッフトレーナー(1996年アトランタオリンピック)
■JRA日本中央競馬会オフィシャルトレーナー
■さかえクリニックスポーツ診療部 メディカルトレーナー
■トップアスリート株式会社 スーパーバイザー
■ 国内最高峰ロードレース JSB1000 2010総合王者 秋吉耕佑 専属メディカルトレーナー

競技歴
■1978年 第25回 全日本都道府県ショートトラックスピードスケート選手権大会 最年少出場
■1986年 第33回 全日本都道府県ショートトラックスピードスケート選手権大会 1000M 優勝
■1986年 第10回 全日本選手権大会 500M 優勝
■1987年 アジア競技大会 冬季大会 (大韓民国 ソウル大会) 日本代表
■1987年 第34回 全日本都道府県ショートトラックスピードスケート選手権大会 500M 優勝
など日本を代表するアスリートとして活躍、引退後 K1戦士、プロボクサー、レーシングライダーなど多くのプロアスリート、オリンピック日本代表アスリートをケアするメディカルトレーナーとして活躍。国内で最も多くのトップアスリートをケアする鍼灸師の一人。

2010.11



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