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2010年11月16日 火曜日

トップアスリートのための身体再生ピラティス

トップアスリートのための身体再生ピラティス

 

自律神経機能を高める
トップアスリートのための身体再生ピラティス


自律神経機能とピラティス


●アスリートは交感神経が常に優位

自律神経は、人が環境に適応して生きるために不可欠な働きをコントロールしている神経であり、運動神経が筋肉を随意に(自分で意識して)働かせるのに対して、内臓諸機能を不随意に(自分で意識しないで)調節しています。

自律神経には交感神経系と副交感系に2つの系路があり、この神経が支配している器官にはりめぐらされて、神経伝達物質のアドレナリン及びノルアドレナリン、アセチルコリンの作用によってさまざまな働きをコントロールしています。

例えば、スポーツパフォーマンスを発揮する際に、あるいはトレーニングを行う際には、アドレナリンが分泌されて交感神経が優位に働くことによって、血圧や心拍数を上げ、胃腸・腎臓などの内臓や皮膚への血液量を減らし、筋肉により血液を供給できるようにしています。気管を拡張して酸素の取り込みを促しており、肝臓や脂肪細胞の代謝機能を高めてエネルギーの発生を促しています。

また、入浴後や睡眠中などのリラックスした状態では、アセチルコリンが分泌されて副交感神経が優位になる働くことによって、血圧や心拍数を下げ、内臓の血液の供給を増やし、消化器官の運動を高めています。スポーツやトレーニングで消耗した身体を回復させたり、エネルギーの蓄積を促したりしているのです。

しかし、スポーツ選手は過剰なストレスの下におかれることが多いため、交感神経が常に優位の状態にあり、その一方で、交感神経と相反する副交感神経が優位になる状態が少ないといえます。試合が続く、トレーニングが過剰になるなど、心身に過剰なストレスがかかった状態が長く続くと、自律神経機能が低下(特に副交感神経の低下)してしまいます。すると疲労回復ができず、パフォーマンスが向上しなくなります。

ところがパフォーマンスが向上しない、あるいは低下しはじめると、多くのアスリートはトレーニングが不足していると思って、さらにハードなトレーニングを積んでしまいがちです。そうなると交感神経の優位な状態がさらに続き、副交感神経の働きが低下して、パフォーマンスはさらに低下するという、負のスパイラルに陥ってしまいます。

緊張の中でリラックスできる能力こそアスリートにとって安定したパフォーマンスを発揮できる重要な能力であることは周知のことです。

多くのアスリートに必要なのは、ハードな過剰トレーニングをやめて交感神経が過剰に優位になっている状態をなくすことであり、副交感神経の機能を回復させる(自律神経機能を高める)ことなのです。そのような取り組みによってパフォーマンスは確実に上がります。実際にプロ野球選手、プロゴルファー、レーシングドライバー、プロボクシング世界チャンピオン、五輪日本代表選手といった多くのトップアスリートが成果を上げています。さかえクリニックの末武院長(当社代表取締役)に教えていただきました、自律神経機能に着目したメディカルトレーニングの考え方をベースにして科学的根拠を基に現在ピラティスの指導を行っています。

専門医とフィジカルトレーナーが開発した新しい身体能力向上エクササイズです。

 

●5秒吸って5秒吐くタイミングで

自律神経機能を高める方法の1つは呼吸法です。5秒吸って5秒吐くという、1分間に6回のゆっくりとしたペースで呼吸することによって、自律神経機能をトレーニングすることができます(詳細は2006年2月号特集参照)。医学的にこのリズムが最も自律神経機能向上ができると実証されています。これまでのピラティスは科学的に効果を定量評価して行われていませんが、私どもが国内で始めて、心拍変動解析システムを使用してピラティス本来の目的を明確にしました。体幹を鍛えることはインナーマッスルを鍛えるのみならず自律神経機能を向上も同時に行うことなのです。

一般の方を対象にしたピラティス教室では、最初に呼吸法を行いますが、リラクゼーションができるように開発された音楽に乗せて「5秒吐いて、5秒吸う」を繰り返していると、ときどき寝てしまう人が出てきます。一般の人は力を抜くことが難しいのですが、寝てしまうというのはそれだけ力が抜けてリラックスしているということなので、それはとてもよいことだと言っています。

この呼吸法をするだけで副交感神経の機能が高まってリラックスができるため、この呼吸法を覚えるだけでもアスリートにはかなり有効だと思いますが、呼吸法とともにピラティスを行うと、交感神経の機能も高まりますので、交感神経と副交感神経とのバランスがとられることによって、力まずに体幹のインナーマッスルを使うことができます。その状態でピラティスを行うと通常のやり方よりもより体幹が鍛えられるのではないかと考えています。

スポーツにおいても交感神経と副交感神経のバランスは非常に重要であり、例えばマラソンは時間も距離も長い競技ですが、交感神経を過剰に優位のまま力んで走っていたのでは、とても身体はもちません。交感神経と副交感神経のバランスを取りながら、適度にリラックスして走ることが大切であり、実際に高橋尚子選手などは力まず適度にリラックスして走ってよい結果を収めています。このようにこの呼吸法でピラティスを行うことは、パフォーマンス発揮時のよりよい身体状態を習得する上においても有効だと思います。

阪神の藤田太陽投手にピラティスやピラティスの考えに基づいたストレッチングを、昨年12月から指導していますが、ピラティスを導入して、ボディバランスが高まり、ピッチングの安定感が高まったと話しています。先日(7月24日)も1時間のレッスンを行い、翌日の対中日戦で中継ぎとして登場した際に、2回を無安打無失点 3三振で抑えるという素晴らしいピッチングで観客を魅せました。このときは一般的なピラティスとともに、ピラティスの考えに基づいて私が考案した股関節を緩めるピラティスストレッチングを導入しています。

野球選手には、股関節の軸がぶれないようにすることを重視してやっていますが、初めて導入したこのピラティスストレッチングはとてもよかったようで、股関節周りのつまりがなくなり、ボディバランスがとれて、しっかり投げることができたと言っています。

 

●両方のパターンでできるように

呼吸法を取り入れたピラティスを指導する際には、ゆっくり吸ってゆっくり吐くように言っています。5秒・5秒のタイミングを特に意識させていませんが、その分、トレーナーがそのペースになるように「吸って」「吐いて」と言って誘導しています。

ゆっくりのペースで吐きながら動きますが、初級と上級では呼吸の仕方を逆にすることもあります。例えば、吸いながら身体を起こして吐きながら戻していたのを、吐きながら身体を起こして吸いながら戻すとかというように、です。最初は一番やりやすいパターンから始めますが、呼吸は必ず吸いながら必ず身体を起こしなさいというのではなく、上級になると両方のパターンができるようにしていきます。

ピラティスに呼吸法を取り入れてちょうど1年になりますが、身体の硬かった部分に可動性が生まれ、使えなかった体幹が使えるようになるなど、競技エアロを行っている私の身体にもいろいろな変化が現れています。こうした効果を自分の身体で実感したことから、アスリートや一般の方の指導にも取り入れ始めたのですが、いろいろな方に指導しているなかで、まだまだ奥深い効果がありそうだということを感じています。さらなる効果を期待して続けていきたいと思っています。

 


■呼吸法の基本

ポジション
あぐらの座位で基本となる呼吸法を行います
行い方 5秒吸って5秒吐くというペースで呼吸します。鼻から息を吸い、口から息を吐きます。息を吸うときには胸式を基本とし、胸のほうに空気を入れていきます。息を吐くときは骨盤底筋を下から上に引き上げるイメージで行います。肋骨に手を当てて、肋骨の動き(吸う=広がる、吐く=狭まる)を感じながら行いましょう。

ポイント
パンツのファスナーを上げていくときのように、下から上に引き上げるようなイメージで息を吐いていくと、下腹部が締まって骨盤が安定します。さらに少しお腹を少し引っ込めるようにしながら息を吐いていくと、より骨盤が安定し下腹部が働いて、腹横筋がぐっと締まる感覚がわかると思います。5秒吸って5秒吐くという呼吸のペースをつかむ際には、時計の秒針を見ながら、あるいはメトロノームの音を聞きながら行うとよいでしょう。

メリット
この呼吸法が習得できると、腰回りに余計な脂肪が付きにくくなり、食べても太りにくい体質になります。個人差がありますが、骨盤底筋群が意識できるよう呼吸法ができるようになって1年くらいすると、その効果を実感できると思います。


■骨盤のニュートラルポジション&コントロール

ポジション
あお向けになって膝を立てた姿勢で行います。

エクササイズ
骨盤のニュートラルなポジションを探し、骨盤の動きを出して、骨盤のコントロールを練習するエクササイズです。まず、腰を押しつけるようにしてウェストを床につけます。このとき背中と床の間には空間がありません。次に、お腹を突き出します。このとき背中と床との間には空間ができます。その中間が骨盤のニュートラルなポジションになります。次に、ニュートラルなポジションから、骨盤を傾けて骨盤の動きを出します。骨盤を傾けたり戻したりします。

ポイント
骨盤の動きを出すときには、肋骨が床に触れている状態から、腰の骨を下に少し沈ませるようにしながら、骨盤を傾けていきます。少し骨盤を傾ける程度とし、床にウェストをべったりつけるところまでは行いません。5秒吸って5秒吐くという呼吸をしながら行います。息を吐きながら骨盤を傾けていき、息をゆっくり吸ったのち、息を吐きながら骨盤を戻していきます


■ロールバック

ポジション
膝を立てた座位で行います。

エクササイズ
腹筋を使いながら腰の骨を動かすエクササイズです。腕を前方に伸ばしたまま、お腹を引っ込めつつ、上体を後ろに倒していきます。45度くらいまで倒したら上体を元の位置に戻していきます。

ポイント
腰椎を1個ずつ動かすようにして行います(腰椎の関節を1つずつ開いていくように)。5秒吸って5秒吐くという呼吸をしながら行います。息をゆっくり吐きながら上体を後ろに倒していき、45度まで倒したところで息をゆっくり吸い、息をゆっくり吐きながら上体を元の位置に戻していきます。4セット行います。アドバンスでは息を吸いながら上体を後ろに倒し、吸いながら戻していきます。


■スパインツイスト

ポジション
あぐらの座位で行います。

エクササイズ
腹筋を使いながら上体をひねるエクササイズです。腕を横に伸ばしたまま、お腹を引っ込めつつ、上体を横にひねっていきます。捻りきったところで、上体を元の位置に戻していきます。元に戻したら反対側へ上体をひねっていきます。

ポイント
腰椎を1個ずつ動かすようにして行います。5秒吸って5秒吐くという呼吸をしながら行います。息をゆっくり吐きながら上体をひねっていき、ひねりきったところで息をゆっくり吸います。次に息をゆっくり吐きながら上体を元の位置に戻していきます。4セット行います。アドバンスでは息を吸いながら上体をひねり、吸いながら戻していきます。


■レッグエクステンション

ポジション
うつぶせになり脚を肩幅よりも広めに開いた状態で行います。

エクササイズ
臀筋、ハムストリングス、内転筋群を使って、腸腰筋をストレッチするエクササイズです。遠くにつま先が引っぱられるような感じで、足先をゆっくり少し持ち上げます。ゆっくり下ろしたら反対側を行います。

ポイント
臀筋、ハムストリングス、内転筋群を使って、大腿部の付け根を引き伸ばすようにしながら足先を上げることで、腸腰筋をストレッチします。息をゆっくり吐きながら足先を上げ、そこでゆっくり息を吸い、息を吐きながら元の位置に戻していきます。4セット行います。アドバンスでは息を吸いながら足先を上げ、吸いながら戻していきます。


■ブレストロークプレップス

ポジション
うつぶせになり脚は閉じて、腕を顔の前で組んだ状態で行います。

エクササイズ
ハムストリングスと内転筋群を使って、腸腰筋を活動させるエクササイズです。大腿部の付け根を床に押しつけるようにしながら、上体をゆっくり上げて、ゆっくり下ろします。先の腸腰筋のストレッチのエクササイズのあとに続けて行います。

ポイント
腸腰筋が固く、骨盤腸骨稜前面が床から浮いていると腰を痛めてしまいます。その場合には浮いている部分にタオルや雑誌を入れて高さを調節し、必ず骨盤腸骨稜前面を自力で床に押しつけることができる状態にして行います。息をゆっくり吐きながら上体を上げ、そこでゆっくり息を吸い、息を吐きながら元の位置に戻していきます。4セット行います。


■ヒップロールズ

ポジション
あお向けになり膝を立てた状態から行います。

エクササイズ
背骨を順番に動かしながら腰を上げていくエクササイズです。股関節を伸ばすようにしながら腰をゆっくり上げていきます。膝から大腿部、体幹、肩までが一直線になるまで腰を上げていきます。そしてゆっくり腰を下ろしていきます。

ポイント
背骨の1つ1つを順番に動かしていく感じで行います。息をゆっくり吐きながら腰を上げてゆき、そこでゆっくり息を吸い、息を吐きながら元の位置に戻していきます。4回行います。アドバンスでは息を吸いながら腰を上げ、吸いながら戻していきます。


■ショルダーブリッジ

ポジション
ヒップロールズと同じ状態で行います。

エクササイズ
ハムストリングスと内転筋群を使って、片足の踵の上げ下ろしをするエクササイズです。膝から大腿部、体幹、肩までが一直線になった姿勢を維持しながら、踵をゆっくり上げて、ゆっくり下ろしていきます。下腿を上げるやり方もあります。

ポイント
かなりハードなエクササイズであり、大腿四頭筋を使って姿勢を維持しようとしがちですが、ハムストリングスと内転筋を使い、大腿四頭筋はむしろストレッチしながら行います。ヒップアップ効果が期待できるエクササイズです。息をゆっくり吐きながら踵を上げ、そこでゆっくり息を吸い、息を吐きながら元の位置に戻していきます。片足1セット3回を、3セット行います。アドバンスでは息を吸いながら踵を上げ、吸いながら戻していきます。


■アブプレップ

ポジション
あお向けになり膝を立てた状態で行います。

エクササイズ
腹筋群を使って上体を床から少し上げるエクササイズです。動き自体は非常に小さいのですがゆっくり上げていき、ゆっくり下ろしていきます。

ポイント
肋骨と骨盤を近づけるようにしながら上体を床から離していきます。息をゆっくり吐きながら上げ、そこでゆっくり息を吸い、息を吐きながら元の位置に戻していきます。8~10回行います。アドバンスでは息を吸いながら上体を上げ、吸いながら戻していきます。


■シングルレッグストレッチ

ポジション
あお向けになり膝を立てた状態から行います。

エクササイズ
腹筋群を使って両脚を上げ、片脚は膝とつま先をしっかり伸ばし、もう片脚は膝を90度に曲げた状態(下腿は床と平行)を、交互に行うエクササイズです。ゆっくり動作を入れ替えます。

ポイント
体幹を安定させて行います。あごは引いて胸に引きつけるようにします。息をゆっくり吐きながら動かし、そこでゆっくり息を吸い、息を吐きながら動かします。8~10回行います。アドバンスでは息を吸いながら動かします。


■スタンディングリラクササイズ

ポジション
立位で親指に力を入れた状態で行います。両腕は自然な状態で垂らして体側に付けます。

エクササイズ
股関節を緩めるエクササイズです。臀筋を使い大腿部の付け根(腸腰筋)を伸ばした状態で行います。このままゆっくりと身体を真横に倒していきます。そしてゆっくり戻していきます。倒した側とは反対側の股関節のつまりが解消されます。2回行ったら、今度は、真横に倒したあとに、倒した側とは反対方向に、腰をゆっくりずらします。そして腰と身体を戻していきます。

ポイント
倒す動作も戻す動作も常に腹筋を使いながら行います。息を吐きながら身体を横に倒し、そこでゆっくり息を吸って、元に戻していきます。腰をずらすときも息を吐きながら行います。身体は真横に倒します。腹筋が緩んで、身体が前に倒れたり、後ろに反ったりしないように注意します。身体を真横に倒すだけのパターンを2回、腰をずらすパターンを2回やります。たった4回ですが軸の安定性が増します。


■スタンディングスパインツイスト

ポジション
立位で片腕を前方に上げ、片腕は腰に当てた状態で行います。

エクササイズ
これも股関節を緩めるエクササイズです。臀筋を使い大腿部の付け根(腸腰筋)を伸ばした状態で行います。腰の位置を保ったまま、ゆっくりと状態をひねっていきます。そしてゆっくり戻していきます。上体をひねった側とは反対側の股関節のつまりが解消されます。

ポイント
常に腹筋を使いながら行います。息を吐きながら上体をひねり、そこでゆっくり息を吸って、元に戻していきます。腹筋が緩んで腰の位置が動いてしまわないように注意します。へそから下が瓶のふたで、へそから上が瓶だと想ってやるとよいでしょう。これも左右2回ずつおこなうと、軸の安定性が増します。

 



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