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最新トレーニング法(バイオフィードバックトレーニング編)

バイオフィードバックトレーニング
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バイオフィードバックトレーニング
      Biofeedback Training
バイオフィードバックトレーニング


心拍変動を増加させる為の同調周波数バイオフィードバック訓練:
訓練の為の理論的根拠


Paul M. Lehrer, Evgeny Vaschillo, Bronya Vaschillo

UMDNJ (University of Maryland, New Jersey)
- Robert Wood Johnson Medical School


要約:
心拍数と血圧は、他の生理的システムと同様、健常人において複雑な変動パターンを
示し、これらは複数の周波数振動で特徴付けられている。 これらの振動は、ホメオ
スタシス(生体恒常性)反射活動を反映している。 RSA(呼吸性不整洞脈:呼吸によ
る心拍変動)振幅を増加させる為のバイオフィードバック訓練では、0.1Hzの付近で
のみ心拍変動が最大化する。 この訓練目的を達成させる為には、ゆっくりとした呼
吸で0.1Hz付近に呼吸数を合わせると、呼吸により引き起こされた振動(RSA)とその
呼吸数で自然に発生する振動間に、一部圧受容体反射活動によって引き起こされる同
調が起こる。我々は、この種のバイオフィードバックが圧受容体反射を働かせ、その
為より効率的に機能させると考えている。 この方法を実行する為の資料が紹介され
ており、Lehrer, Smetankin, Potapova(2000年)共著の中に、この点についての説明
データが提出されている。

キーワード:RSA(呼吸性不整動脈)、心拍変動、圧受容体反射、バイオフィード
バック、ホメオスタシス

 
 
特性と目的
RSAとは呼吸によって起こる心拍変動のことである。 心拍数は吸気で増加し呼気で減少する。 

これは、心拍リズム変動メカニズムの内のひとつである。
通常これらの変動はお互いに重なり合い、その結果心臓の自然のリズムを非常に複雑なものにしている。 

RSAは時には、副交感神経の状態をみるための指標として使われる(Porges, 1996)。 
呼吸に関係づけられる心拍変動は健常人においては通常0.15~0.4Hz(9~24呼吸数/分)の周波数帯で起こる。この周波数帯の心拍変動はしばしば、“高周波”心拍変動と呼ばれている。 
同時に、0.05~0.15Hz(呼吸数3~9回/分)の周波数帯でも大きな振幅変動がみられる。 この周波数帯の心拍変動は、この周波数帯で非常にゆっくりと呼吸しているのでなければ呼吸数には関係していない。

この周波数帯での活動は“低周波”心拍変動を意味し、交感神経系および副交感神経系の両方の活動によって影響される(Berntsonその他、1997)。 これは他の周波数帯の心拍変動よりも圧受容体反射活動により密接に関係している(Bernardiその他、1994)。


 1. 圧受容体反射は主に大動脈や頚動脈等大動脈血管の圧力の変化によって起こる。

圧力が増えるか又は減るかすると、圧受容器がその変化を探知し、
この情報を視床中枢に伝達しホメオスタシスを維持する為の反射を引き起こす。

 

より低い周波数帯(0.005~0.05Hz)での活動は交感神経による調節であり、血管張力と体温の調節を反映しているようである。 複数の周波数帯における心拍変動は自律神経の特定の源に関係しており、精神生理学上これらの周波数帯の心拍のの相対的変化は、時には交感神経と副交感神経の勢力的バランスをみるのに使われ
る。

しかしながら、この使い方は完全には妥当ではないかも知れない。 個々の周波数帯における心拍変動は、自律神経の調節による変調過程の反映のようにみえるが、自律神経の刺激活動の結果は常に同じではない。 Porges(1995)は、RSAと心臓の迷走神経刺激は組織的且つ規則正しく分配されていると指摘している。 

一例として、新しい刺激を生体が目で見て感知し、その情報の“取り込み”を行う時の順応反射がある。 順応反射においては、迷走神経調節による心拍の減少が起こるが、それはRSAの停止と組織的に関連している(これらの反射は全ての動物で起こり、心拍数の減少は、しばしば認知心理学者によって特定の刺激に対する注意反応の有無の測定に使われている)。

このように、順応反射において心臓に影響を与える2つの迷走神経調節は同時に反対方向に動く。

血圧の上昇は副交感神経反応を引き起こし(たぶん交感神経活動を抑制し)、
血圧の下降の場合は逆の反応が起こる。


Porgesは、この現象を“複合迷走神経理論”と名付けた。 彼は順応反射中の心臓除脈は、RSAが迷走神経の心臓への影響が調節されるプロセスを反映する為、一部RSAの停止による変動ではないかと理論付けた。 順応反射中この調節はない為、刺激を受けた心拍数に対する迷走神経の影響は増大し、心拍数の減少を生み出す。 彼は心拍数に対するRSAと迷走神経支配は脳幹のどこか異なった場所で、例えばnucleus ambignusとdorsomotor nucleusで支配されているのではないかと理論付けている。Porges(1995)は更に、RSAは自己調節に関連している為、温体動物のみがRSAを有していると指摘している。 

冷温動物が自己調節の為に太陽を浴びたり避けたりするのに対し、温体動物は内部調節プロセスを行う事を強いられる。 そしてこれらのプロセスは、精神生理学的な振動活動に反映されている。 

そのような振動は、ほとんど全ての生理的調節システムにみられる。 血圧と指脈拍容量はともに、心拍数と同じ周波数帯の中で振動がみられる。 ただし、ここでは圧受容体反射効果は低周波帯での活動ではなく超低周波帯(0.005~0.05Hz)での活動に反映されているようにみられる(Vaschilloその他出版用論文)。 Vaschilloは、よく知られた周波数0.1Hzでの振動ピーク(例えばほとんどの成人において10秒間の振動で、低周波スペクトルの中間点と低周波スペクトル内で発生したもっと高い振幅がみられる点)は、圧受容体反射の影響に反応して血管系の順応性により血圧が上昇したり下降したりするのに、5秒間の遅れで反応する。 Vaschilloはさらに、圧受容体反射システムは血圧の振動変化に反応するのであって血管張力レベルそのものに対してではないと理論づけている。

心拍変動がホメスタシス活動(生体の恒常性を保つ活動)を反映しているとする概念を立証する多くの臨床例がある(Hyundman 1973)、これらの活動リズムが存在しないか、希薄か、もしくは複雑さに欠ける時その生体は高血圧(特に左心室肥大が随伴する場合)(Mancia、その他1995)、突然心臓死Goldberger,、その他1991)、左心室不整脈(Rosenbaum、その他1994)、や重度の心臓障害(Peng、その他1992)等の心臓血管障害に起因する死に至るリスクがより大きい。

心拍変動はこれ迄、心筋梗塞後の死の予見(Kleiger, Miller, Bigger & Moss,1987)、心臓移植後の拒絶反応リスクの予見(Binder,その他1992)や血管造影所見にも使われてきた。 RSA波の振幅は不安もしくはうつ病からくる情緒不安定によって減少する傾向がある(Asmundson, 1994,. Rechlin, その他1994)。 

それは成人において加齢と逆比例しており(De Meersman, 1993)、生体の恒常性を保つ順応性の低下を示していると考えられる。我々は最近の発表で、これらのリズムの発生と複雑さが、心臓血管安定性確保と生理的及び環境的要求に対する適応性確保のために機能するいくつかの“バックアップ”システムに関連している事を述べた(Giardino,Lehrer, Feldman, 2000)。 

今後より多くのこのようなシステムにより、安定性のより以上の増大と調節障害改善が予測されるべきである。

心臓血管システムにおける同調、圧受容体反射機能とRSAバイオフィードバックの“2つの循環ループ”理論:

ロシアの研究家達は、人はバイオフィードバック技術を使って、RSAを随意的に非常に増大できる事を証明した(Chiernigovskaya,その他1990)。 又他のロシアの研究家達によって、バイオフィードバック訓練が、自律神経機能が関係する喘息や高血圧や種々の不安障害等の疾病治療に役立つことが報告されている。 

Vaschillo(1984)は、人はRSAフィードバックにより、呼吸に関連する心拍リズム(例えば高周波変動もしくはRSA)と圧受容体反射活動による心拍リズム(低周波変動)の間に同調が起きる呼吸数で呼吸する事を発見した。 

圧受容体反射効果に反応する呼吸数で呼吸する時、心拍変動のこれら2つのソース間に同調が起こり、心拍変動の振幅は大きく増大する。 Vaschilloは更に、圧受容体反射刺激の振幅増大は(心拍数と同様、血圧のより大きな振幅変動による)圧受容体反射のより大きな運動を生み出し、最終的により大きな圧受容体反射効率を生み出し、従って自律神経調節活動がより増大すると考えている。

又、RSAバイオフィードバックでRSA振幅を随意的に増大させることにより、人は低周波数帯域での呼吸を強いられる事が証明されている(約6回/分)(Lehrer,その他1997)。 これらのデータから、同調は人がバイオフィードバック訓練によってRSA振幅を増大させる方法を学ぶメカニズムであることが分かる。 Vaschillo(1984)は、人は低周波帯の特定の周波数、0.1Hzの辺りでのみ最高の変動振幅を生み出す事ができると記している。 

大きなRSA振幅は間違いなくこの周波数帯で呼吸することによって引き起こされ、それはわずかの訓練で行う事ができる。しかしながら彼は、血圧変動におけるバイオフィードバックによって達成出来る最も大きな振幅は超低周波帯で起こる傾向があると述べている。 これらを基礎に、彼は圧受容体反射活動を“2つの循環ループ”システムとしてモデル化した。

Vaschilloの実験例はブラウン管上にコンピューターがつくり出した振動を写し出し、被験者(6人の宇宙飛行士)に彼ら自身の生理的活動で同じ振動をつくり出すよう指示をした。 被験者の心拍数がスクリーン上の一部に示され、彼らはコンピューターがつくり出した洞性波と同じ波形を自分自身の努力でつくり出すよう指示された。 Vaschilloは、心拍数の低周波数帯と超低周帯の間で刺激目標周波数を変えてみた。すると全ての被験者が、低周波数帯で最大変動と最も安定した目標周波数変動が起こった。 

彼は被験者の血圧変動も測定したが、これについては測定の為の直接のバイオフィードバックは与えなかった。このように、目標周波数の最大変動は超低周波数帯で起こった。 Vaschilloは変動の最大振幅をみせる特定の周波数を個人の同調周波数と名付けた。彼の同調理論と同じく、Vaschillo及び他の研究者達は、血圧と心拍変動が特定の周波数で規則正しい位相関係がある事を発見した(Vaschillo, Lehrer, Reshe, &Koustantinov,出版用論文)。 

心拍数の同調周波数において、(例えば低周波数帯で起こ周波数振幅のピーク)血圧振動と心拍振動はお互いに180°反対方向の位相で起こった。 このように、バイオフィードバックによる心拍数の増大(減少)と圧受容体反射効果によるより以上の増大(減少)がおのおのの周期で同時に起こる。 

血圧の同調周波数では(超低周波数で起こる)、心拍数と血圧はお互いに同じ位相で振動する(0°位相関係)。 この周波数では、圧受容体反射効果は、心拍数に対するバイオフィードバック効果を抑制するが、血圧変動を促進させるようにみえ、これは多分最大点において圧受容体反射に関係する血管緊張によるものだと考えられる(後者の関係については組織的な研究はまだなされていない)。 

Vaschilloは心拍数及び血圧の同調周波数が異なるのは、心拍数及び血管緊張に関する圧受容体反射効果が異なるからだと理論づけている。彼の圧受容体反射活動の“2つの循環ループ理論”を裏付けるには、血圧変動を増大させる為のバイオフィードバック訓練を、血管緊張を直接測定する方法を用いて、より多くの被験者を対象にした調査を行うことが必要である。


バイオフィードバック訓練の為の手順
被訓練者はまず自分の同調周波数で呼吸する事を教えられる。 
最初のステップはRSA変動を最大限に増やす為の訓練である。 

最初のセッションでは、被験者に4~7回/分の特定の周波数で呼吸させ、呼吸の深さを出来るだけ一定に保たせる(出来れば呼気終了時点での二酸化炭素量を計る)。 その為、目標呼吸数での呼気と吸気のペースが被験者に分かるようコンピューター画面上で上下する光の呼吸ペーサーを用意し、実験中ストレイン(緊張)計測器で個人の反応を測定する。 

被験者はコンピューター画面上に呼吸ペーサーで示された指定の呼吸数で呼吸をし、光の上下の動きに合わせて呼気と吸気をするよう指示される。それに続くセッションで被験者はバイオフィードバックを与えられる。 

被験者は翌週1日に2回、それぞれ20分間自分自身の同調周波数で呼吸するよう指示される(訓練中、被験者は過度呼吸を避ける為、自然の浅い呼吸をするように注意される)。

次のセッションで、被験者は心拍変動を起こす為のバイオフィードバックを直接与えられ、呼吸に関連して起こる心拍変動振幅を増やすよう指示される。 拍動間隔測定タコメーターを使って記録し、その測定記録を呼吸活動測定記録に重ね合わせる。 

被験者はRSA変動を最大限に増やす目標を与えられ、その為心拍振動と同位相で呼吸するよう指示される。他のディスプレーで、被験者は0.005~0.4Hzの周波数帯で移動する心拍変動周波数分析をみせられる。 ディスプレーは、心拍変動周波数を1秒ごとに更新して表示する。

被験者は同調周波数の辺りで起こるスペクトルパワーピークを増大するよう指
示される。 呼吸ペーサーの最高点は1回毎の呼吸に伴うRSA変動に比例するようになっている。心拍数を示す呼吸ペーサーの天井と底は個々の被験者に合わせてセットされ、個々人の心拍数の上限と下限に合わせて調節されなければならない。

RSAフィードバックの臨床的応用
RSAバイオフィードバックの臨床的効果に関する理論は、同調周波数で呼吸することにより圧受容体反射に大きな変動刺激を常習的に与える練習をし、圧受容体反射を効率的にするという事である。 この方法を、喘息や高血圧や種々の神経障害の治療に使った臨床的例がロシアで出版されている(Chernigovskaya、その他、1990)。 

我々は、この技術を使っての喘息の改善例を、ロシアリハビリセンターからの20の連続臨床例のひとつで報告している。(Lehrer、その他、2000)。 しかしながら、これらの研究はコントロールグループを対照にしていない為、観察結果のある部分に被験者選択偏見や、regression to the meanやプラシーボ効果が反映されている可能性がある。

喘息持ちの成人を対象にした対照実験のひとつに(Lehrer、その他1997)、RSAフィードバックが訓練セッション中呼吸インピーダンスの大きな減少を起こすことが報告されている。 

しかしながら実験対象となった被験者数が少なかった為、一般的な臨床的改善としての評価はされなかった。 このように、この方法は自律神経障害による様々な病状の治療に役立つ事が大きく約束されてはいるものの、その効果を実証するには対照実験を更に行っていかなければならない。

バイオフィードバックと整調呼吸
被験者に1分間に6回の呼吸をしなさい言う代わりに、特別のバイオフィードバック技術が必要なのは何故か?

Vaschillo(1984)は正確な心拍同調周波数は個々人それぞれに異なると共に(その為、個々人に要求される正確な呼吸数を決める為のバイオフィードバックが必要)、それはある期間にわたって変えられる事を発見した。 我々の臨床的経験から、訓練期間中、変動振幅最大値は減少し、その為人によっては呼吸数の4回/分の近くで最大心拍変動を達成する。

人によってはそんなにゆっくりと呼吸出来ない。 訓練はその為徐々に行わなければならない。 バイオフィードバック技術は、個々人に適した特定のリズムで呼吸させ、ある期間にわたって呼吸と圧受容反射機能の改善を促すようにする。

東洋の呼吸訓練との類似性
東洋のヨガやキゴンや禅の修業は全てゆっくりとした呼吸を伴う。 これらの技術を修得した者は、自分の体の必要性とペースで呼吸する事を教えるが、それは多分RSAバイオフィードバック効果に似ていると思われる。 

東洋のこれらの修行は事実、個人の心拍同調周波数で呼吸する点において、RSAバイオフィードバック効果と同じ効果を生み出している。 最近の座禅中の禅僧に関する研究で(Lehrer , 1999)、瞑想中の禅僧は心拍変動の低周波帯もしくは超低周波帯で呼吸している事が分かった。 

全ての禅僧はゆっくりとした呼吸周波数でRSA変動を増大させており、 一人の禅僧においては1分間で1回呼吸し、その周波数帯で特に大きな変動振幅をつくり出していた。 

この周波数帯は温度調節と交感神経調節を反映するという理論と一致しており、座禅が氷点下以下の状態で行われたにも関わらず、心拍数は上昇し暖かさを感じたとの禅僧の報告がされている。

セラピストの為のインストラクション
呼吸と共に心拍数は上がったり下がったりする。 吸気で心拍数は上がり呼気で下がる。 呼吸によって起こる心拍数の変化をRSA(呼吸洞性不整脈)と呼ぶ。 

RSAは、自律神経系全体(心拍数、血圧、呼吸を含む)による調節を助ける為に、体に非常に強力な反射現象を引き起こす。 訓練の目的は、心拍変動の大きさを増大させることにある。 心拍変動の増大は、これらの重要な反射運動を訓練し体のコントロールをより効率的に行う助けとなる。 
訓練にあたっては個人のRSAを測定し、呼吸による心拍情報が被験者に与えられる。

これがRSAフィードバックである。 被験者はこの情報をもとにRSAを増やす為の自己訓練を行う。 この訓練を常時行えば自律神経系の調節を行う反射運動を強化することが出来る。これにより毎日のストレスへの対応能力が増し、健康改善につながるはずである。 これらの反射運動の訓練が、様々な肉体的および感情的障害に対処する手助けになる事はこれまでに証明されている。

最強の格闘家 ヒクソングレーシーもオリンピック金メダリスト 室伏広治選手など、多くのトップアスリートも呼吸法によるバイオフィードバックトレーニングを実践しています。


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